出版社内容情報
男女医学生たちが解剖や外来実習や恋や妊娠にあたふたしつつ生き方を探る。そして彼らの十五年後。人生の実感を軽やかに綴った快作
内容説明
医師として患者の生死に向き合う著者が、4人の医学生の青春に託して人生のいとおしさを描く自伝的小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みも
52
頻回に人の死を看取る医師という職業。時には人道を希釈し、即物的な視座で仕事をこなさねば精神の均衡を保てなくなる事もあるだろう。むしろ感情の揺らぎを律する事こそが、優秀な医師の条件なのかも知れない。しかし人間が人間を診る以上、そこには感情のざわめきがあり相剋があり懊悩がある。本著で探求しているのは形而上的医師の哲学。読者に委ねるさざなみの様な余韻のリフレインが、どんな強弁よりも雄弁に心の襞に触れ震わせる。底流にあるのは著者の死生観。最低限の医療用語を用いて簡明に綴られているので、年齢問わずお薦めしたい名作。2018/01/22
クリママ
41
新設秋田大学医学部二期生。人体解剖実習で同じ班になった4人。想いや境遇は皆違う。大学が新設であることや、雪に埋まる秋田の冬。それぞれに鬱屈した想いも持ちながら、実習を通して少しづつ気持ちが変化していく。華やかでもなく、脂ぎってもいず、淡々と描かれる。そして、読後の穏やかさと静けさ。体験を基に、作家自身が安らげるようにと大衆小説として書かれた本作は、大変読みやすかった。2017/06/02
ちゃさち
15
テレビで紹介されていたので読みました。頭いい学生たちが、行きたくなかった秋田の地で医学生になる。真面目な女子学生や元教師、やる気のない東京出身の男子学生、年上の女性を妊娠させてしまった学生。4人が少しずつ医者になる姿がよかったです。頭が良いだけでは医者には向かない、人が人を見る、いい話でした。2025/05/28
Nobuko
6
図書館本 本意ではない経緯で新設秋田医大で学ぶ4人 それぞれの悩みに立ち向かう 最後の章でその後の4人の姿が描かれていてよかった2025/05/17
まるぷー
3
秋田大学医学部に入学した4人の学生が医師になるまでを描いたおそらく著者の自叙伝小説かも。伝統も実績もない当時新設されたばかりの医学部に入学した4人は様々な授業や実習を受け今、自分は何をしているのだろうかと悶々と過ごす。医者とは何だろうかと葛藤し医師の国家試験に受かりそれぞれの道に進んだ15年後の様子で締め括られている。医学部は「限りなく文系に近い理系」ドイツ語やラテン語、症例の暗記など思いもよらない表現が作中でなされていて意外だった。治る病気は治る治らないのは治らないむしろ死を看とる使命が医者なのか?2014/03/10
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