出版社内容情報
原発で精気を失った町から、青年はいわくつきのオートバイを駆って都会へ──。前作から一年半、途轍もない試みで圧倒する書下し
内容説明
原発で精気を失った海辺の町。いわくつきのオートバイ。若者は送電線を辿って、都会へと出奔する―。光と闇の絶妙のコントラスト。疾走感溢れる文体。究極の小説世界を実現した、待望の書下ろし新作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
めがねのさっちゃん
1
ネットラジオの紹介コーナーきっかけで、図書館で借りて読みました。散文詩的な小説と紹介されていましたが、読んでみて納得。筋書きを追うのではなくて、文章を楽しむ小説です。 語りは年代物のオートバイ。 バイクの持ち主の青年があらゆる面で安定しているので、どんな展開になっても安心して読み進められるのがよい。正確な意味を気にせずに、気持ちの良い文章をざくざく読み進められるので、専門用語の飛び交う企業小説や本格推理小説に挫折していた私にはもってこいの小説でした。 なんにしろ読んでいる間、退屈なし。おすすめです。2014/06/02
Dai
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昔、オートバイに乗っていた時にはただの機械じゃなく、意思や感情があると思うようにしていた。一人で走っても淋しく無い様に。文中にある「無論、一人では行かせない」こんな会話にしびれてたなぁ。2013/08/20
jidan99
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オートバイと原子力発電所2013/02/01
原玉幸子
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詩的?と思いつつも詩ではない自由奔放な散文の形態も然り、頁頁にある読めない漢字を用いた形容や、逆に簡単な「動くもの」との表現で著者が示唆する主題の深さや、一瞬主人公は誰だと思い惑わせる著者の筆力に夢中になります。自身のバイクの事故体験に重ね合わせもしましたが、「生きることは、人間が根源的に有する悪や、例えば危険を渇望する本能と同義(でなければその生に意味は無い)」と言わんばかりの著者の訴えに痺れました。著者の他の作品も読みたいです。(◎2017年・夏)2020/02/11