出版社内容情報
蒐書狂、古書鑑定人、廃品回収業者など古書の周辺を彩る奇妙な人間模様。古典落語にも似たキレのよい語り、異色作家の受賞第一作
内容説明
通称「枠屋」。新聞の死亡欄から客をみつくろい蔵書を買いしめる、ちょっと怪しい古書商人。訃報に接し哀傷にたえません云々、と遺族あて毛筆でしたためるが、むろん故人との交友なんてありはしない。ある日、北の端れの遺族から蔵書処分の依頼状。招じ入れられた故人の書斎は、なんと、座敷牢ではないか。直木賞受賞第1作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
らびぞう
5
6つの短編集。古本屋がどの短編にも出て来る。古い家、古い本、それらには、何か、言葉で表せないものがある、宿る。なので、どの短編も、ミステリアスで、薄ら怖い。その中で、「冬至の旅」は、ちょっとほっこりする話だった。「お百度」、「くしゃみ」、「あったとさ」は、読み終わった後、ぞくりとする。2023/10/16
moonanddai
5
この方のエッセイは随分読ませていただいており、本の売り買いにまつわる話は大変面白い。特に、買い付けに出かけるときの話は、眉毛につばです。そんな話のうちの「嘘のようなホントの話」はエッセイに、「ホントのような嘘の話」は小説に、という感じかもしれません。確かに他人の本棚を覗くというのは、その人の人柄を覗くみたいなところがあるのは確かです。私も、(死なないうちは)特段誰かに書棚を見せようなんては思ってはいませんが、本を並べるときはなんとなく考え込んでしまいます。表に出すか、裏に入れるか…。2016/11/04
あられ
1
面白かった。最後の表題作はファンタジー!だ。昔話の読み聞かせのような話でゾクゾクっとした。古い囲炉裏端できかされたら、トイレに一人でいけないのかな?2018/02/01
のん
0
古本屋を主人公とした短編集。古本屋ならではの人の多少えぐい部分を描いたストーリーがよい。
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- 和書
- 遊動亭円木 文春文庫