出版社内容情報
テンプル騎士団の残した暗号の謎を追うミラノの編集者を見舞った殺人事件。解体された小説の迷路に読者を誘いこむ“知”の大冒険
内容説明
記号の海で再編される歴史、そこで“振り子”の役割は?錬金術からナチズムに至る百科引用大小説。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
taku
16
虚構を作り出す圧倒的な知識と構想力。記号学者だけあって、事象の意味と関係を組み立てていく手腕は抜群。秘密結社の陰謀論やオカルトをからかいながら、こじつけエセ論理がまかり通る愚かさに警鐘を鳴らしていると思える。場面場面ではぐっと引き込む魅力があるけど、手を焼かされる本。ヨーロッパ思想や精神史を含め、わかった気になっていると鼻を折られてしまう。読後は自分もペテンにかけられた気分になった。2018/10/24
はる
2
う~ん 三人の計画とはなんだったのだろう。金属の歴史に迷いこんだ3人は自分たちの計画は、脈々と続く妄想が実像になり、頭のなかを守る為の陰謀を組み立てるカルト集団を不安に陥れる。カルトは其処らじゅうにいた。あいつもこいつも!カルトは千年の王国の住人。虚も実も不確かな国の。時間軸を整理すれば、都合のいいドラマも生まれる。都合のいいことと事件の絡み合いに整合性は果たしてあるのだろうか?世界に陰謀が仕組まれているようにも見えるが、果たしてそう動くのだろうか?歴史ミステリーとして面白かった。2020/02/23
志ん魚
2
主人公たちが新たなオカルトの再編・創作に耽溺していくあたりがけっこうきつい。『虚無への供物』の推理合戦を地球規模で壮大に面倒臭くしたような。。。でもこれが強烈な皮肉となってあとの展開に生きてくる。時に堰を切ったように膨大な知識を語りながらも、最後まで読むときっちり計算されているというか、回収されていくところはさすがです。2010/05/24
ホレイシア
2
若い時に読むといっぱしの知識人になったような気分になる。後で恥ずかしいので要注意(笑)。
黒猫グリ子
1
10年ぶりの再読。知識・歴史・妄想・記号…机上の空論(言葉遊び)の応酬で、後半にやっと物語が動き出す。彼らの会話を聞いていると「知識の無駄遣い?」とも感じてしまう探求はきらいではない。知識とは相反するようなベルボの文章と行動は、最後「無意味への不服従」という形でカッコ良く終わる、宙ぶらりんだけど。社会に生きるのも頭脳歴史妄想の迷宮に生きるのも等価値の人生、後者の方が面白そう。2016/09/12