出版社内容情報
妻とは会話らしい会話を交したことのない中年男がバーで出会った女性とのシャレた「会話」にすっかり夢中になる。連作七篇を収録
内容説明
「家庭」という怪物から解放されて、一晩中、「会話」に夢中な男と女の、シャレた“大人の関係”。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mishima
36
知人が、かつて、日本の女流作家のなかでは、田辺聖子が唯一自尊心を入れず物語を表現する、のようなことを言っていた。これを読むと、ああなるほど、と思う。それに、人を見る目、わけても異性を見る目がするどくて、なおかつ優しい。2019/06/15
ミッチ
14
うつつを抜かしてみたいもんだと読んでみた。境界線を越えるか越えないのか気を揉ませて結局は越えなかった「うつつを抜かして」が秀逸だった。タイトル名にしたわけが分かった。2019/08/16
チオリンゴーゴー
2
30年以上前の本。1989年に出版された本を今読むと色々新鮮。女性が自立して働いているのは同じ。男性との恋愛で二股や不倫などもなんのその。それも普通だよといわんばかりに作品に反映されているのがとても感慨深かったです。今の時代のほうが厳しい時代だなぁと思ってしまいました。2022/11/15
りさこ
2
中年の、とはあまり書きたくない。男業をほどほどに積んだ男性から見た、夫婦・恋人の物語。そこにはきらびやかな物語はないけれども、じっとりとした生身の物語があるように思う。 結婚がゴールではない。若い私に"結婚その後に"をかいま見させてくれた本。2012/01/08