出版社内容情報
藩中一、二を競い合う剣の遣い手二人が宿命でむすばれ対峙する。男の闘いを緊密な構成と乾いた抒情で描き出す表題の名品ほか三篇
内容説明
この作家、円熟期えりぬきの秀作4篇!奇しき運命の縁にむすばれ、狂気の刃の前に立つ男。そして女は息を殺し見まもる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
aki
4
古い本を処分するため本棚を整理していたらこれが目に入る。 既に何度も読んでいる。また本を開く。 読むたびに新鮮度が増す。ストーリーを追う読み方をやめ、物語に流れる情緒、風の音や日の光に至るまでの風景などを感じる。そして文体の裏に流れる苦しみや不条理から新しい明日に向かう希望のようなものを抱く。 だから、読むたびに最後の、この1~2行で涙する。 「しかし、敬助はずっとむかしから知っていたような気がした」 「その娘は、身じろぎもせず敬助を見つめていた」 ・・・・ いつも知らないまま著者の世界に入っている。 2018/06/19
蝉、ミーン ミーン 眠ス
1
表題作は話の組み立てが特に緻密でクライマックスの決闘の盛り上がりは流石の一言に尽きる。2023/04/15