その夜のコニャック

その夜のコニャック

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  • サイズ B6判/ページ数 277p/高さ 19X14cm
  • 商品コード 9784163104300
  • NDC分類 913.6

出版社内容情報

死の沈黙がこもる防空壕に広がったコニャックの芳香。その一滴をふくむ絶頂の時。人生の喜び、悲しみ、また不思議にふれる小説集

内容説明

気付かなかっただけで、この人と同じことを自分もしていたのではないかと、登場人物のことを思いやる。読んだあと、心の片隅にそれまでなかったものが宿り、日々の暮しのなかにふと甦ってくる―このような小説を集めた『遠藤周作 小説の館』シリーズ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アコ

20
13篇収録の短篇集。まずは短篇を、ということ以外考えずに選んだので、このなんとも不思議な世界観が合わなかった。輪廻転生や深層心理などスピリチュアル系への興味などが窺えるものの、はたしてこれが小説なのかエッセイなのかが中途半端かつ曖昧で、残念ながらあまり入り込めず。とはいえ、筆致はさすが。1篇を消化不良気味で読み終えても、次の篇に期待してしまうということを繰り返す。次は内容を選んで読むことを決意。2017/02/04

奏市

19
読むと清々しい気分になる。遠藤先生の文章を読むとちょくちょくなる。今回もとても気持ちが良くなった。多くが非科学的な超常現象のようなものを題材にした小説又はエッセイの短編集。どこまでが事実でどこからが創作かわからないような内容。本当のこともあるのだろう。岡山の美星町、島原の加津佐、大分の日出、行ったことはないが(近くは通っている)何かで引っかかる地名が出てきて、妙にわくわくする。「生まれてはじめて口にふくむコニヤック。彼はあたかもそれを自ら僅かに残された生命のすべての味であるかのようにゆっくり味わった。」2020/08/12

Dalia Violeta

11
どこからが「エッセイ」で、どこからが「小説」なのだろう、と思わず考えてしまう作品だった。私は「運命」という言葉は信じないがもし話に出てくる「一致」が真実であるのならば、「偶然」とは片付けられない何かを感じずにはいられない。「どこかで、見た、風景」と「その夜のコニャック」が私は好きだ。2014/02/02

トーマ

9
宗教、歴史、オカルト、性癖、ユーモアにいたるまて、様々なジャルがつまった遠藤周作の短編集。ここまで幅広く書けることに驚きつつ、改めて遠藤周作の凄さを実感しました。物語の構成や語り方、説得力や描写からは、遠藤周作の圧倒的な知識力と経験が感じられ、短編であっても深くリアルな感触があります。遠藤周作を読むと、小説家は知識がなければ出来ないのだと毎回教えられる。どの短編も読みやすく、それほど難しくはないので、まだ遠藤周作を読んだことのない人にはオススメです。2017/05/23

bouhito

4
キリスト教者であり、また医学にも明るかった筆者が、晩年スピリチュアルな世界に興味を持っていたことは意外。一方で、表題作や「あかるく、楽しい原宿」のように現代と戦時中とを対照させる作品もあり、それは遺言のようにも受け取れる。先の戦争を生きた人というのは、科学では説明しきれない「何か」をずっと胸の中に秘めていたのだろうか。2015/03/29

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