出版社内容情報
三島の激賞によって文壇にデビューし、数々の「恩恵」を一方的に受けつづけた著者が、十七回忌にあえて描いた、三島由紀夫の禁忌
内容説明
焼跡で読んだ短篇に衝撃を受けて以来、深く三島を意識し、三島の激賞によって文壇にデビュー、突然の自裁まで、さまざまな形で一方的な「恩恵」を受けつつげた著者が、父祖の地、幼時体験をはじめとする三島と自分との数奇な共通項をたどりながら、十七回忌にあえて描く、三島由紀夫の禁忌!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アマニョッキ
39
野坂昭如氏による三島由紀夫論。まずタイトルからして素晴らしい。ぐっとくるやつだ。内容も面白かったが、野坂昭如の自伝と並列で描かれているので、最後の方は三島由紀夫よりも野坂昭如に傾倒してきてしまった。野坂昭如の文章やっぱり好きだな。近くにいたら絶対惚れてる。2017/09/01
シッダ@涅槃
21
やっぱ野坂氏は小説より、エッセイやノンフィクション体の文章の方が面白い。こんな本を紹介して下さったアマニョッキさんに取り分けて感謝を。2017/09/10
風に吹かれて
10
三島は十二歳まで祖母と過ごした。それは有名な話だが、しかし、祖父はどのような人間だったのか。野坂の論は祖父のみならず、祖父の祖父の出自にまで及ぶ。三島の生育に関わる部分は数多の著作に寄っているようだが、三島を生んだ土壌のようなものを理解できたと思う。それらを前提にした野坂の『仮面の告白』論は、とても面白かった。そして、三島の最期に至る精神の軌跡の建て方は、野坂節ともいえる文章の面白さもあって、読ませる。三島の生そのものを提示したユニークな本だと思う。タイトルどおり野坂の「私説」だとしても。2016/10/12
Gen Kato
2
再読。野坂昭如自身の生い立ちと重ね合わせて描かれた正統な三島文学論。とにかく滅法面白かったです。書名も素晴らしい。2015/03/21
アネモネ
1
三島由紀夫の生い立ちと野坂さん自身の生い立ちを重ねながら人となりを分析していて、わかりやすかった。作者のことをある程度わかった上で作品を読むと、より面白く読める気がした。2019/03/12