出版社内容情報
いよいよ三年の間雨風の音を聞き馴れた小屋と別かれたり――通称「三畳御殿」が完成、空襲で焼き出されて以来丸三年にわたる小屋暮らしをついに脱する。昭和二十二年一月一日から二十三年五月三十一日までを収録。
【全三巻】
巻末エッセイ・高原四郎
内容説明
いよいよ三年の間雨風の音を聞き馴れた小屋と別かれたり―。念願の新居が完成、終戦間近、五月二十五日の空襲で焼き出されて以来の長きにわたる小屋暮らしをついに脱する。昭和二十二年一月一日から二十三年五月三十一日までを収録。全三巻。
目次
昭和二十二年(一月;二月;三月;四月;五月;六月;七月;八月;九月;十月;十一月;十二月)
昭和二十三年(一月;二月;三月;四月;五月)
巻末エッセイ 生き残った小鳥(高原四郎)
著者等紹介
内田百〓[ウチダヒャッケン]
明治22年(1889)、岡山市に生まれる。六高を経て、大正3年、東京帝大独文科を卒業。この間、漱石の知遇を受け、門下の芥川龍之介、森田草平らを識る。以後、陸軍士官学校、海軍機関学校、法政大学などで教鞭をとる。無気味な幻想を描く第一創作集『冥途』をはじめとして多くの著作がある。昭和46年(1971)4月、八十二歳で没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まさ☆( ^ω^ )♬
5
昭和22年1月1日〜昭和23年5月31日までの日記。百閒先生の日常を垣間見れるのが何とも楽しい。生活は自転車操業なのに、稼いだ金はほぼ大好きな酒に変わっているのね。ここまで来ると潔くて良い。高原四郎氏の巻末エッセイも良いです。2024/08/05
gorgeanalogue
4
戦後日記中盤にならんとす。錬金術成りて三畳御殿落成し目出度きこと也。百閒を読んで困るのはこちとらも下手な百閒調になつてしまふ事なり。頭の中の考への順序もその樣になつてしまふ。如何ともし難し。2019/04/05
よしださいめい
2
内田百閒の戦後日記、その第2巻。 毎日の天気(気温や風など)と飲酒(酒の種類と量)をこまめに記す。 百閒先生、ほぼ毎日のようにお酒を飲んでいる。 まれにみる「酒無し」や「不飲」の文字。 体を壊さないでね、と思えるくらいです。 毎日の天気と飲酒をこまめに記す。 しかし、4ヶ月後に「日記」として「その日」のことを事細かく書いているのだから、その熱心さ(というべきか)に感心。 巻末の高原四郎氏の「生き残つた小鳥」も、百閒先生の人となりが出ていて素晴らしい。2019/03/30
しょうゆ
1
相変わらず特に何も起きず、酒と金に奔走する日記。最高。どんなに短い日記でも、必ず天気(風)についての記載があるのはなぜ?と思っていたけど、小屋暮らしゆえの必須項目だったわけですね。風が吹いてるかどうかは死活問題。今更気づいた。巻末エッセイが本当に良くて、これだけのためにお金払ってもいいくらい。百閒先生のチャーミングなところが存分に出ていて最高だった。一升瓶と鳥籠を持って逃げたというエピソードが為人を表している。2021/12/01