出版社内容情報
丹那トンネルは大正七年に着工して数多くの犠牲者を出しつつ完成までに十六年を要した。この歴史的な難工事の内幕を描く長篇小説
内容説明
完成まで16年の歳月を要した世紀の難工事・丹那トンネル、その土と人との熱く凄絶な闘い。人間の営みの栄光と悲惨を見事に捉えた力作長篇小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
detu
22
それまで東海道本線はかつての宿場城下町の小田原の手前、国府津から御殿場を経由し沼津へと出る難所越えルートだった。大正7年、熱海三島間を貫く旦那山トンネルが起工された。完成すれば東京大阪間の移動時間は大幅短縮の大悲願。しかし艱難辛苦の連続、遅々と進まぬ掘削に、大崩落事故、関東大震災、再びの大崩落。新聞世論は大バッシング。当時の世情背景を語りながら世紀の大工事の詳細を綴る。未だ貫通を見ぬ丹那隧道の試練。下巻へ。2021/04/22
クラムボン
14
大正7年の着工から完成まで16年を要した丹那トンネルの工事を記した超硬派な記録文学。鉄道省の管轄工事を請負う2社が熱海口と三島口から掘る。トンネルは断層を貫くため、脆い地盤の破砕帯や大量の湧水に悩まされる。大正10年熱海口、13年三島口の崩落事故で共に16名が犠牲となる。その間に関東大震災もあり正に満身創痍の状態だ。世の激しい非難を浴び工事中止も考えられたが、丹那盆地の地質を把握するために地中深くのボーリング調査で活路を見出す。まだ上巻だが、作者の細部まで徹底的に調べ上げ妥協を許さない姿勢には圧倒される。2023/09/11
もこちゃん
1
熱海口での大事故が上巻の見どころだろう。絶望感がとんでもないが、あきらめずに少しずつでも前進しようとする仕事人の執念というか誇りというか、すさまじいものがある。2020/07/19
tai65
1
星5つ2019/01/06
getaya
0
☆☆☆☆2016/04/29
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- 和書
- 小林多喜二伝