出版社内容情報
アメリカ文明を捨てジャングルに生きる道を求める発明狂の"帰る気のないロビンソン・クルーソー"と評された特異な人物像を子供の目から描く村上春樹氏絶賛の傑作
内容説明
帰る気のないロビンソン・クルーソー。“午前4時の勇気”をもってジャングルに新天地を求め王になろうとする男。ユートピア文学の系譜に巨歩をしるすポール・セローの異色傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白のヒメ
41
生活が自分の思い通りにならないアメリカを捨てて、野蛮なジャングルに家族を連れて逃げて行った男が主人公。自分の事を優秀だと信じるあまり、アメリカは滅亡したと家族に言い聞かせ、未開の土地で「長」になろうとするが・・・・。親がアホだと子供たちが優秀だと聞いたことがあるけれど、これはそれを地で行っていた。昔の映画の原作だと知って読んだ。映画は見ていないのだけれど、読み応え十分。私は、こういう小説が好きだよなー。面白かったです。2015/03/08
ブラックジャケット
12
1981年のベストセラーだそうだ。アメリカのIT革命前で、製造業の衰退が問題になっていた頃。発明家のアリー・フォックスの苛立ちは沸騰、アンチ・アメリカの主張は、一家をホンジュラスへの移住へ駆り立てた。真に有意義な技術だけで新天地に王国を築く。テーマは壮大だが、ジャングルの地は容赦ない。小説は14歳のチャーリー視点で描かれる。偉大な父であったが、家族にはアメリカは滅んだ、と嘘っぱちを宣言、退路を断つ。アリーの企図は破綻するのだが、気宇壮大な悪夢が面白い。文明批評が通底していて歯ごたえたっぷりの物語だった。 2021/07/12
Kozo Kurokawa
1
映画のほうだが、父を信じていたとき世界は小さく老いたものに感じていた。父を失った今、父を愛することを恐れず世界は限りなく広い。小説のほうでは、アメリカ合衆国に戻り、こんな世界でもとても輝いて見えたとなっていた。男の子は理想があればいきていけるもんだなーと思った。