出版社内容情報
昭和十年代の世相を背景に二人の男の熱い友情の風景を通して市井の家庭の昭和史を鮮かに描き、好評を博した著者初めての長篇小説
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Rosemary*
33
向田劇場、堪能しました。門倉と水田ふたりの男の友情と、水田の妻たみのバランスがなんとも絶妙。登場人物像も際立ち、時代背景が昭和であっても繊細で巧みな心情描写や、会話の旨さは、飽きさせない。楽しい時間を過ごせました。2019/05/22
夏子
11
二人の不器用な男と芯の強い一人の女の微妙な関係が描かれている。三人共卑怯で雁字搦めで苦しんでいて、最後のさと子の気持に共感してしまうけれど、それなりに満たされてもいるみたいでどうしようもないなとも思ってしまう。戦前昭和の時代の景色と存在感のある人物達が目の前に立体的に浮かび上がってくるような描写が印象的でした。2015/11/12
ジュースの素
9
昭和56年刊。確か3度目くらいの読了かな。つくづく思うのは 当時は(今でもそうだが)世の中は女性の我慢と忍耐と知恵で廻っていたんだなと言う事。 乱暴な、相手をそしるような言葉を日常に使い、ちょっと金があれば女へと走り、多分 向田さんもそれを言いたかったのだろう。女は踏み台になったり つっかい棒になったり 時には壁になり。 今ではもう探しても無い言葉や言い回しが多く使われていて懐かしかった。 2015/08/08
カオリヌス0327
7
初向田邦子作品。 昭和の日本ですね。なんかちょっと艶めかしい雰囲気もある。 18歳の一人娘が母の妊娠を知り、「性」について、両親に対して複雑な感情が湧いてきたことなんかとてもリアル。 2人の男の友情と恋とまとめてしまうと綺麗だけど、それだけでは片づけられない、人の陰の部分が細かく描かれています。 他の作品も読んでみたい。2014/04/28
DiceK
4
15年ぶりに生まれ故郷に帰省し、祖父母の本棚から見つけて持ち帰った本。おそらく読むのは2回目。向田邦子さんの本が好きだが、それだけでなく阿吽というタイトルと狛犬の絵が、好きなのだと思う。人間は2人だけの関係よりも3人もしくはそれ以上でいる時の方が、よりうまく成立する関係があるような気がする。それはその関係性の方が自分らしくいれるからなのかもしれない。そして人間はそれぞれが人に言えない事情を抱えていることも多く、全てを語る必要性はない。語らなくても阿吽の呼吸で理解し合える関係が持てると人生において助けられる2023/11/19
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- 和書
- 一刀斎夢録 〈下〉