出版社内容情報
五十に近い未亡人の元教師が、かつて特別の想いを抱いていた教え子に再会した時、何が起ったか。自らの老醜に『山姥』を見た主人公の痛切の情を描く表題作以下三篇
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やっさん
15
第76回芥川賞受賞作の表題作は3番目に収録。代用教員だった20歳の女教師と15歳の美少年の接触、約30年後の再開が交互に描かれる。その他戦中に、兵隊上がりの教師が担任になる「ぽぷらと軍神」、北海道の炭鉱の竪穴掘削と閉山までを描く「清吉の暦」の3編。どれも戦争の影響を強く感じる。炭鉱の仕事のように、危険で肉体労働で(そんなに)頭を使わなくていい仕事ってのが本当になくなってきてるよな、と思った。知能をあまり問われないような。そりゃ需給ギャップも起こるよなぁ。全体に文章が上手く、情景が目に浮かびました。2023/04/11