出版社内容情報
脚本家、児童小説の名手による初の短編小説集。NHK朝の連続テレビ小説「ウエルかめ」スピンオフ作品を含む心に清やかに響く四作。
読むほどに心がほっこりする相良ワールド。脚本や児童文学でお馴染みの相良敦子による初の短編小説集です。俳句を愛する父の最期の病床を俳人・一茶の幻影との心の交信をまじえてえがいた「せうじの穴の天の川」。中国古代を舞台に、あたかも兵馬俑の遺跡から生き返ったかのような二人の男を活写した「掘る」。明治の近代化への庶民のとまどいとたくましさを、商家を舞台に女主人の目線で明るくユニークに描いた「瓜提灯とピクルス」。NHK朝の連続テレビ小説「ウエルかめ」のスピンオフ作品でNHK徳島放送局のweb上で好評連載された「アデリータの背中」、の四編を収載。脚本家・相良敦子ならではの軽妙でユーモアある会話術が、小説の筆でもきらきら光を放ち、読者を小説世界へと導きます。日常の喧騒からちょっと小休止したい時、きっと心のビタミン剤になる、四つの愛すべき短編小説集です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
信兵衛
16
収録されている一篇、一篇にそれなりの面白さはあるのですが、余りにバラバラな内容に、私自身が消化不良となった読後感あり。2016/04/24
草幸
0
それぞれの短編に現代を生きる人間のテーマが凝縮された宝箱のような本。蓋を開ければその時代の中に引き込まれて、読者の忘れていた過去の場面や匂いまでもが臨場感をもって思いだされる。それを支える時代と人物の丁寧な描き方がいい。時代物でありながら普遍的な人間のテーマを軽くえぐりつつ、さらりと引いてまとめる小説の終わり方もなかなかのもの。2016/08/20