出版社内容情報
19世紀末ロシア、独立直後のジャマイカ、サイバー空間――様々な時と場所に現れた、「宇宙」をめぐる思想。分子となって銀河に散らばる全祖先の復活を唱える者、自らのルーツを土星に見出し異形の音楽を創り出す者……。果てなき頭上の漆黒に、人は何を見るのか?
内容説明
19世紀ロシアに生じた、ロシア宇宙主義と呼ばれる思想潮流。分子となって銀河に散らばる全祖先の復活を唱えるその特異な哲学は現代に回帰し、ウクライナ侵攻の思想的背景とされる新ユーラシア主義や、テクノロジーによる不死を目指すトランスヒューマニズムに巨大な影響を与えている―。どんづまり―の現実、その外部としての「宇宙」。頭上の暗闇に、人は何を見るのか。「土星からの使者」サン・ラーら黒人アーティストのアフロフューチャリズム、そしてサイバースペース/メタバースまでを繋ぎ論じる。
目次
第1章 ロシア宇宙主義―居住区としての宇宙(新しい人間―アレクサンドル・ボグダーノフ;死者の復活―ニコライ・フョードロフ;実体化する「精神圏」―現代ロシアにおける展開1;新ユーラシア主義―現代ロシアにおける展開2)
第2章 アフロフューチャリズム―故郷としての宇宙(止まって、僕を乗せておくれ―サン・ラー;未来は黒い―リー・ペリー;変性=変声するヒューマニティ―サイボーグ化の夢)
第3章 サイバースペース―もうひとつのフロンティア(一九八四年―ニューロマンサー、マッキントッシュ、VR;幸福な監禁―行動分析学的ユートピア;人はなぜ炎上するのか―SNSと道具主義;メタバースは解放か?―精神と肉体の二分法;身体というアーキテクチャ―私がユートピアであるために)
終章 失われた未来を解き放つ(不死のレーニン;飼いならされる大衆のユートピア;資本主義と社会主義は生き別れの兄弟;排除されるもの;「未来」の亡霊;二種類のノスタルジー;近代の夢を救い出す)
著者等紹介
木澤佐登志[キザワサトシ]
1988年生まれ。文筆家。思想、ポップカルチャー、アングラカルチャーの諸相を領域横断的に分析、執筆する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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