出版社内容情報
気候変動と戦争に荒れた未来。富裕層は精神を仮想空間に移し永遠の命を得たが、全財産を次世代に託し死を選ぶ者もいた。彼らを看取る楽園〈ヘヴンズガーデン〉で元難民のコーディネーター・エルムは何を想うのか。人類の過ちと環境破壊の果てを静謐に描く物語
【目次】
内容説明
気候変動と戦争に荒れた未来。生を脅かされる難民が地表に溢れる一方、富裕層は精神を仮想空間に移し永遠の生を得ていた。しかし、次世代のために全財産を寄付し死を選ぶ者もいる。〈ヘヴンズガーデン〉は、彼らに理想的な最期の時間を提供し、その遺産を難民保護に充てる施設だ。コーディネーターとして寄付者の〈旅立ち〉に寄り添う元難民のエルムは、地球を壊してしまった過去を引き受けようとする寄付者のローズやリゲル、ガーデンを訪れた元難民のリンクス、施設の創設者「三毛猫」との日々を通じ、自らの過去、そして生きる意味に向き合うこととなる。人類の残した傷跡を見つめ、失われゆく世界に寄り添う静謐なSF譚。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
28
気候変動と戦争に荒れ壊れゆく星。富裕層は仮想空間に移住し永遠の生を得る世界で、絶望の先に生まれた庭で受け渡されてゆく命を描いたSF小説。次世代のために全財産を寄付し死を選ぶ者たちに最期の時間を提供し、遺産を難民保護に充てる施設で、コーディネーターとして旅立ちに寄り添う元難民のエルムが、地球を壊した過去を持つ寄付者やガーデンを訪れた元難民、施設の創設者との日々やそれらの背景をリアルに描く中で、、自らの過去や生きる意味に向き合い、その答えを提示しないことで死生観を一人ひとりに問いかけてゆく印象的な物語でした。2026/02/25
信兵衛
20
設定や雰囲気に好感を覚える作品なのですが、最後、主人公は何かを選び、あるいは何かを決意し、そこに救いを見出したのかどうか。その点があやふやであり、釈然としない思いが残ります。2026/02/14
おだまん
15
第13回早川SFコンテスト、大賞なしの特別賞受賞作。小川一水さん激推しとのことで期待。自死を選ぶという物語ながらヒーリング系で優しい雰囲気に包まれて。肉体と精神、「生きる」ことと「死ぬ」ことの意味、思いが読者に委ねられた小説。2026/02/20
遙
13
退廃した星に作られた美しい箱庭[ヘヴンズガーデン] 入居者の人生最後の4週間を彩る、優しくてそして悲しい場所。トップに立つのは可愛らしい三毛猫[ロボット] 一見ファンタジー要素の強い設定ですが、読み進めている内にSF要素と戦争、自然破壊、人間の犯した様々な罪に斬り込んだ、メッセージ性の強い作品だと解ります。 会話シーンで「」が用いられない為、文面がするすると流れるように綴られていて、読了とともに浮かぶのは、まさに美しい湖。 素晴らしい作品でした。 今後応援していきたい著者さん。 より多くの方に読んで欲しい2026/02/04
ho
4
めっちゃ良かった! 自分たちがどんな世界を残せるか、残した世界に生まれた子孫達の悲しみや怒りを受け止める方法はあるのか。良い世界を残したいと皆が思っているはずなのに、一人の力ではとても大きな流れは変えられない無力感。かなり食らった。2026/02/22




