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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
26
異星生命体とのファーストコンタクトという甘い理想を打ち砕く、ひとつの絶望を描いた物語は、だからこそパーソナルな想いの強さと儚さを際立たせる。このコミカライズでも、そこに感動させられる。ソラリスの海は何も答えない。問いすらない。謎に向かえば向かうほど自分が見えてくるのは、つまりはそういうことだ。「お……おまえはギバリャンじゃない!」「では、きみ自身は何者かね?」希望のない、それでも手放さなかった信念の先にあるもの。原作小説に匹敵する、素晴らしいコミカライズ!2025/02/11
garth
11
「ここはまるで理解できない言語で書かれた本が集められた図書館だ。わたしたちはただその背表紙の色を眺めているだけにすぎない」2025/01/27
vivahorn
3
下巻では、引き続き酉島伝法タッチのキャラクターが随所に出現する。3人の乗組員はそれぞれ秘密を隠しながら照射実験の打ち合わせを続ける。一方、形成物であるハリーは、芽生えた人間の心を持ち不幸な絶望感に苛まれ、自殺未遂を起こし自らの正体を知ることになる。そしてスナウトによりハリーは消え去ってしまう。コミックスのラストシーンは少し中途半端。何かのメッセージを以って締め括って欲しかった。原作に忠実という意図は理解できるが、少しぐらい自由度を上げても良いのではなかろうか。2025/02/14
kankoto
2
「ソラリス」の世界が2冊のコミックに見事に描かれていて、それはもう森泉 岳土の世界だった。彼は様々な小説をコミカラズしているが一貫して彼が描く独特の空気が流れている。 ソラリスと言う惑星に派遣された主人公の心理的な内面とソラリスと言う惑星その物の表層を見事に描いている。 彼が描くソラリスの海は具体性を持って私の頭の中で組み立てられて広がっていく。 あの美しい場面と、最後の場面。 読み終わって彼の描くソラリスの風景の中に佇んでいてしばらく帰ってくる事が出来なかった。2025/02/12
緑虫@漫画
1
★★★★ レムの古典的名作を漫画化。原作がオールタイムベスト級の大ネタだけにハードルも勢い高くなるなか、期待を超える仕上がり。典型的な日本の漫画の中央値から離れた端正な絵柄で、実際そういう評も読んだけど、グラフィックノベル的な文脈で海外でも広く受容されるかもと思った。本作の強みはやはりソラリスの海を絵で見せられるという点。鉛筆だろうか、地球由来のものと明確にタッチが使い分けられてて異形の知性との相容れなさが効果的に表現されてた。最後も原作を変えず演出の範囲で最大限希望を感じさせるようになっていてよい。2025/02/23