ほんのささやかなこと

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ほんのささやかなこと

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  • サイズ 46判/ページ数 160p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152103666
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

1985年、アイルランドの小さな町。寒さが厳しくなり石炭の販売に忙しいビル・ファーロングは、町が見て見ぬふりをしていた女子修道院の〝秘密″を目撃し――優しく静謐な文体で多くの読者に愛される現代アイルランド文学の旗手が贈る、史実に基づいた傑作中篇

内容説明

1985年、アイルランドの小さな町。クリスマスが迫り、寒さが厳しくなるなか、石炭と木材の商人であるビル・ファーロングは最も忙しい時期を迎えていた。ある日、石炭の配達のために女子修道院を訪れたファーロングは、「ここから出してほしい」と願う娘たちに出くわす。修道院には、未婚で妊娠した娘たちが送り込まれているという噂が立っていたが―隠された町の秘密に触れ、決断を迫られたファーロングは、己の過去と向き合い始める。歴史に光を当てながら、人間の普遍性を見事に描きあげ、英国のオーウェル政治小説賞を受賞。世界30か国で翻訳され愛される現代アイルランド文学の旗手が贈る、史実に基づいた傑作中篇。

著者等紹介

キーガン,クレア[キーガン,クレア] [Keegan,Claire]
アイルランドの作家。デビュー作の短篇集Antarctica(1999年)でルーニー・アイルランド文学賞を受賞。第二短篇集『青い野を歩く』(2007年、邦訳は2009年)はエッジヒル賞の最優秀短篇賞部門を受賞。2010年発表のFosterは世界的にも最もすぐれた短篇に贈られるデイビー・バーンズ賞を受賞。本書『ほんのささやかなこと』はニューヨーク・タイムズ紙による「21世紀の100冊」に選ばれ、ブッカー賞、ラスボーンズ・フォリオ賞の最終候補にも選出。また、オーウェル政治小説賞、ケリー賞のアイルランド文学部門をそれぞれ受賞した。2024年にはシェイマス・ヒーニー賞の受賞に加え、「偉大なヨーロッパの作家の一人」としてジークフリート・レンツ賞を受賞した

鴻巣友季子[コウノスユキコ]
英米文学翻訳家・文芸評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

buchipanda3

107
寒さが町を覆う季節のアイルランドが舞台。穏やかながらどこか芯の通った強さを感じさせる話だった。その男ファーロングは、ささやかなものに包まれて生きてきた。娘の些細な振る舞いに幸せを感じ、同時にふとしたことでそれを失う可能性に不安を抱くことも。人生は少しの掛け違いで景色が変わることを彼は身をもって知っていた。だから彼は小さくも決断した。正しいか分からない。家族に相談なし?。苦労知らず?。でも彼は自分を鑑みて目を背けられなかった。僅かなことが積み重なり、世の中には見えないとされたものが見えてくることが多数ある。2024/12/06

アキ

92
ニューヨーク・タイムズ紙の「21世紀の100冊」に選ばれ、英国のオーウェル政治小説賞を受賞作。アイルランドで映画化もされています。舞台はアイルランドの小さな町ニューロス、時は1985年。北アイルランドを巡る英愛協定が交わされる頃。12月の底冷えする悪天候の街にクリスマスの季節が訪れる。ビル・ファーロングは石炭販売を営み、5人の娘に恵まれ、聖マーガレット学院へ通わせている。母親は彼を女手ひとつで育ててきた。ある日石炭小屋に裸足の娘が取り残されているのを目にする。女子修道院へ引き渡した後悔からある行動をとる。2025/02/08

seacalf

75
『青い野を歩く』が素晴らしかったクレア・キーガンの中編作品。其処彼処にあの国の空気が感じられるのでアイルランド好きにはたまらない。叩き上げで石炭や木材を扱う店の事業主になったファーロング。彼の胸内の葛藤を描くのが大変見事。人を救うはずの教会の表と裏の顔、自分の出自を顧みて、皆が見ない振りをする腐敗を見逃せないファーロングが起こした行動とは。本筋の話だけでなく、アイリッシュクリスマスの雰囲気、中年男の内面の描き方など中編ながら心に静かに沁み渡る要素がたっぷり。クレア・キーガン、これからも目が離せない。2025/04/15

pohcho

62
実在した教会運営の母子収容施設とマグダレン洗濯所をモデルにした物語。1985年アイルランド。石炭と木材を商うファーロングはひょんなことから施設の実態を知ってしまう。父を知らずに育ち大変な苦労をした彼。自分の母親がもしこの施設に収容されていたら・・という思うといてもたってもいられないが、権力を持つ教会に逆らうと家族を巻き添えにしてしまうことになる。思い悩み苦しんで彼が出した結論は・・。善く生きるとはどういうことなのか、深く考えさせられる作品。今後のことを思うと胸が痛くなるが、自分も善く生きたいなと思う。2024/12/20

星落秋風五丈原

56
アイルランドはカトリックである。中絶は認められない。だから、子沢山で貧乏だ。そのため望まぬ妊娠をした未婚の若い女性は、修道院に入った。女性が、同じ女性を罰する。修道院という閉じられた世界の中で、ただでさえ弱い立場の彼女たちが頼っていける先はない。ファーロングが出せる手は二つだ。いつも出せるわけではない。第一に、彼は家族を守るだろう。それでも、父親のいない彼を援助したのが全くの他人であったように、血縁でなくても人を救える。助けられる人が助けられる人の手を、一人でも多くつかめる日が来ることを、願ってやまない。2024/12/17

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