出版社内容情報
1881年イギリス、エセックスのターングラス館で起こった毒殺事件。事件解明の鍵は、館に監禁された女性が持つ一冊の本にあるという。一方、1939年アメリカ、カリフォルニアでは推理作家が奇妙な死を遂げる。彼は、死ぬ間際に58年前の毒殺事件の物語を書いていた。
内容説明
1881年、エセックス沿岸のレイ島。医師シメオンは、体調不良に悩む叔父オリヴァーが住む島唯一の建物ターングラス館を訪れ、オリヴァーから衝撃的なことを告げられる。彼の義理の妹で、とある事情から館に監禁されているフローレンスが、オリヴァー毒殺を画策しているというのだ。なぜフローレンスは監禁されることになったのか、そしてオリヴァーが感じる殺意の正体とは。謎を解き明かす鍵は、1939年のカリフォルニア、デューム岬にあるガラスでできた屋敷に住む一家の物語が書かれた小説の中にあるというが…。
著者等紹介
ルービン,ガレス[ルービン,ガレス] [Rubin,Gareth]
イギリス在住。ジャーナリスト、作家。2019年にソ連占領下のロンドンを舞台にしたLiberation Squareで作家デビュー
越前敏弥[エチゼントシヤ]
1961年生、東京大学文学部国文科卒、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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geshi
27
表から読む物語と裏から読む物語の互いが伏線となり解決編となるという趣向は面白くなりそうだったけどスッキリせず消化不良。『エセックス篇』→『カリフォルニア篇』の順番がほぼ決め打ちで作られているし、どちらもミステリとしてうまくない。『エセックス篇』は舞台はいいのにサスペンススリラーじみた展開で解決が知っている者から語られる形なのも頂けない。『カリフォルニア篇』は一応の謎解きはあったけど、そこまでするか?という感じも。「強さを求める男」「全てを奪われるか弱き女」という相似は分かるけど、仕掛けが効果的じゃない。2025/01/16
いちろく
26
紹介していただいた本。叔父の診療に医師シメオンが島を訪れたことから巻き込まれるエセックス篇と、友人の死に疑念を抱いたケンが謎を追うカリフォルニア篇の2篇からなる本書。テート・ベージュと謡う独特な構成も凝っている内容。私はエセックス篇からカリフォルニア篇の順で読了した。両篇とももう少しエピローグ的な内容を読みたかったと思うのは、あくまで私の印象なのかもしれない。2篇の独特な関連性も含め楽しめた内容だった。2025/03/24
しゃお
26
エセックス篇とカルフォルニア篇、本を反転してどちらから読んでも楽しめるというテート・ベーシュ。解説及び訳者の後書き(中書き)も真ん中に収められているという凝りよう(笑)。ゴシックホラー的雰囲気たっぷりなエセックス編から読みましたが、カリフォルニア編から読んだ方が理解しやすいのかも。ともあれ鏡映しのようにリンクしていく様は「おお」となります。しかし何かしらモヤっとするものも残り、その辺を確かめたくて、時間ある時にもう一度、今度は反対から読んでみたくもなりますね~。2024/12/29
M H
24
赤い表紙のエセックス篇、青い表紙のカリフォルニア篇のどちらからでも読める仕掛けのミステリー。時代が古くて陰気なエセックス、新しくて(戦前だけど)明るめのカリフォルニアと異なる雰囲気で進む。共通する人名、作中作でこれらのつながりが示唆され、作中では確定しない謎も残る。うぅ、頭が悪くてわからない。こう書くとただ難解みたいだけど、文章自体は平易で各篇の筋はちゃんと楽しめるようになっている。2024/12/21
maja
22
1881年エセックス篇と1939年カリフォルニア篇、ふたつの物語が逆さまに合わさった本の作りで物語も一筋縄ではいかない鏡のなかの像の連なりを覗くようなエンドレス。しかも、そのなかの像のひとつが異形に見えるとそこからまた違った像が連っていく奥があるみたいな。カリフォルニア篇で作家オリバーが描く一族の前世紀の暗喩に満ちた物語のエセックス篇。交差する点から線へと物語を推測したり想像したりで楽しむ。謎も分からないままのもそれも含めて面白かった。 2024/11/14