出版社内容情報
国際的な投資家・鷹栖祐二を刺殺した容疑者は、新興宗教「一真行」の元信者だった。マインドコントロールが疑われ、NCSC(国家総合安全保障委員会)兵器研究開発セクションの井澗紗理奈と、テロ対策セクションの弓削啓史は、心理学者の山咲岳志のもとへ。
内容説明
国際的な投資家・鷹栖祐二を刺殺した容疑者は、かつて渋谷の街でLSDを散布した新興宗教「一真行」の元信者だった。一種のマインドコントロールが疑われ、国家総合安全保障委員会(NCSC)兵器研究開発セクションの井澗紗理奈と、テロ対策セクションの弓削啓史が調査にあたることになる。2人は、和歌山にある一真行本部の近くに住む心理学者、山咲岳志のもとに向かう。事件の背後に隠された恐るべき謀略とは?“巡査長 真行寺弘道”“DASPA 吉良大介”の人気作家が、沈みゆく日本を舞台に描くサスペンス巨篇。
著者等紹介
榎本憲男[エノモトノリオ]
1959年和歌山県生まれ。大学卒業後、西武セゾングループの文化事業部に勤務。その後東京テアトルにて映画事業に携わる。劇場支配人、番組編成担当、プロデューサー等を務め、退社。2011年、監督デビュー作「見えないほどの遠くの空を」の公開と同時に、同作の小説版を発表。16年『エアー2.0』が大藪春彦賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
76
都内のダイニングバーで起きた殺人事件はすぐに犯人逮捕に至ったものの、新興宗教とマインドコントロールが疑われ解明できずにいた。そこから膨らんでいくストーリー。内閣府に設立されたNCSC(国家総合安全保障委員会)は各省庁から集まった人々が混成チームを編成する。厚労省からの紗理奈と警視庁からの弓削、2人の男女がプライベートでも危うい関係を保ちながら奔走する。遺伝子組み換え、脳科学、利権。読み始めは説明が長く、後半は科学的内容も多いが、日本の将来を考えさせられる500ページ超えの骨太な大作。2023/07/19
み
17
う〜ん、盛りだくさん過ぎでした、あたしには。最初の被害者の章が一番読みやすかったです。読んで疲れました(^^;2024/11/03
ジュール
14
長編だが一気読み。国家安全保障委員会に勤める2人。紗理奈は兵士の心を冷徹にする研究、弓削は公安のテロ対策。暗示による殺人事件の解明に取り組む。国の安全保障にもかかわる重要案件。でも2人が食事を取ったり、飲みに行ったりと結構いい感じ。また殺された鷹栖の生い立ちも面白い。ただ後半のマインドコントロールをかけた意外な真犯人が複雑な国際情勢どう知ったかなどの詰めは甘いのでは。とは言うものの、エンタメとして十分楽しめた。 2023/09/16
練りようかん
13
犯人の動機の一歩踏み込んだ動機が見えない。元信者の洗脳はいつ誰がほどこしたものかを探る展開。教団の教えは現在無効でかかりやすい体質だと証明しただけなのが面白い。解除できるなら洗脳も得意なはずと、元信者を何人も診てきた医師があやしく思えて警察側はどう立証するのかに期待。しかし被害者たちのミッシングリンクがわかると物語の顔が変わり日本の危機を感じる運びだが、帰結よりも興味の矛先は洗脳にステイ。特に東大生がカルトにのまれやすい“変性意識”は勉強になった。そしてあぶねえ刑事ネタはツボだった。Tシャツ欲しい。2024/10/02
ガブリエル
10
面白い!500ページ超えを一気読み。マインドコントロールと洗脳、宗教の功罪、科学の政治利用など様々な問題を提起しながら進むミステリー。現実の事件を思い出させる展開。そして何より肝となる謀略が、いつのまにか田舎の山林を埋め尽くすソーラーパネルを思い出させて背筋が寒くなる。「巡査長真行寺弘道」シリーズ同様、社会派でありながら極上のエンタメその絶妙な匙加減がいい。中でも弓削、熱血愛国警察官僚だけど、共感力もありすぐに洗脳されそうになるその緩さ。熱血から一転、虚無感に襲われる人間味がなんとも魅力。シリーズ化熱望!2023/07/03