出版社内容情報
倦怠期の夫婦、シングルマザーにヌードモデル。社会にうまく馴染めない10人は、人生の変化を求めて演技教室に通い始める。謎の男ジョン・スミスが指導する即興演技クラスに参加するうちに、現実と演技の境界は曖昧に。カラフルに彩られた不穏さが身に迫る新作
内容説明
倦怠期の夫婦、シングルマザーにヌードモデル。社会にうまく馴染めない10人は、人生の変化を求めて演技教室に通い始める。謎の男ジョン・スミスが指導する即興演技クラスに参加するうちに、現実と演技の境界は曖昧に―
著者等紹介
ドルナソ,ニック[ドルナソ,ニック] [Drnaso,Nick]
1989‐。イリノイ州パロスヒルズ出身。作品にBeverly(2016)、『サブリナ』(2018)があり、世界で16の言語に翻訳されている
藤井光[フジイヒカル]
東京大学大学院准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
31
『サブリナ 』のニック・ドルナソ最新作。『サブリナ』でドルナソは、フェイクニュースに魅せられる人々の危うさを描いてみせた。外部から発信されているニュースの危うさではなく、あくまで受け取る側の内なる部分の危うさをドルナソは指摘していたが、最新作ではその主題をもう一歩深めている。社会に馴染めない10人が演技教室に参加する。そこでジョン・スミスという男の指導により、10人は役を演じていく。そこでまさしく10人は、虚構に魅せられていくのだ。(つづく)2023/01/07
くさてる
17
前作「サブリナ」が正直ぴんと来なかったのだけど、アマチュアの演技者クラスの参加者たちが現実と演技の境界の曖昧さに翻弄されていき……というストーリーが面白そうすぎて手に取ったグラフィックノベル。こういう閉じられた世界の価値観に染められて動けなくなるタイプの話にほんとうにぞっとするので、映像だったら途中で脱落したかもしれないくらいに怖かった。日本の漫画に慣れてると、この絵で?と思うかもしれないけど、この絵だからこそ怖いのですよ。虚構と現実の合間を踏み越えてしまう危うさを描いたカルトの本質を見た気がする。2024/04/22
こうすけ
16
気づかないうちに出ていた、『サブリナ』の作者の新刊。コミュニティーセンターの演技講座に集まった、クセのある男女の群像劇。徐々に現実と空想の世界が入り乱れる、気味の悪さ、不穏さが秀逸。2022/12/26
夕暮
5
すげえ本を読んだことはわかる。何が起きていたのかはわからない。トッド・ソロンズ+ポール・トーマス・アンダーソンからのアリ・アスターという感じ。フィクションの無限大の可能性を感じた。外に世界を作るとはこういうことなのかもしれない。グラフィックノベルだからこそできること。2023/02/04
Mark.jr
5
こんなに無機質と言ってもいいぐらいの絵柄なのに、登場人物が演技の授業を通して、徐々に自己と演じるキャラクター、現実と虚構の境界が失くなっていくのに、読んでいるこちらもまた一緒に巻き込まれていくかのようなパワーと引力を感じます。とにかくページ数以上にヘビーな一冊です。2023/01/02