出版社内容情報
近未来日本。複雑化していく訴訟社会にあって、法務省鳴り物入りで導入されたＡＩ裁判官が法廷を仕切るようになっていた。そんななかで不敗とされる弁護士は、実はハッキングによって勝訴を勝ち取る「魔法使い」で……？ すぐそこに迫る新時代の法廷エンタメ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kou
67
何これ･･･面白すぎる！！裁判長がAIになると裁判のありようも、ここまで変わるものなのか？機島と軒下の軽妙な掛け合いも楽しかったが、何より登場人物が濃すぎる！！特に千手樟葉(笑)。他人に心酔しやすい田淵検事も、良い味だしていた。正直、途中から｢逆転裁判｣を読んでいる感覚だった。絶対、続編を出して欲しい。待ち遠しくて仕方ない。2022/07/31
うまる
40
新世代の法廷ものの幕開けだ！AIが既存の機関に取って代わるという話は珍しくないのかもしれないけど、この作品の凄い所は、きっちり法廷ミステリであること。事件の主体が新技術なのが興味深いし、その新技術を踏まえて、不利な所から穴を突いて勝利するのが最高に面白かったです。大枠のディストピアめいた話も、なるほどって感じでした。デビュー作もそうだったけど、掛け合いやツッコミが面白いので、アニメになっても楽しいと思う。攻殻やPSYCHO-PASSなど、近未来の事件と陰謀が好きな人にオススメです。2022/09/09
よっち
31
複雑化する訴訟社会にあって、AI裁判官が導入された日本。あくまで機械として冷徹に分析する不敗弁護士・機島雄弁とこの国の正義をめぐるAI法廷ミステリ連作集。AIの穴をついて勝訴するハッカー弁護士の顔も持つ悪徳漢・機島が助手の軒下と組んで挑む、被告人を裏切りながら勝訴した殺人事件、脳波義足事故を巡る真相、不正データ使用リーク事件の再審請求、そして陥れられた軒下とマスターキー裁判。苦い過去の事件の真相やAI裁判官の疑惑も追いながら、思ってもみなかった方法で盤面をひっくり返してみせる展開は痛快で面白かったですね。2022/06/30
rosetta
30
★★★★☆AI裁判官が導入された時代。機島雄弁は機会の隙をつき最適、最短に無罪をもぎ取るハッカー弁護士。代わりに無くしたものは倫理。一話ではかなり嫌味な奴としか思えなかったが助手を採用した二話目からは根暗な漫才の様なアイロニックな会話やら過去の恩師との因縁やら抜群に楽しくなった。SF出身の人だけにコンピュータ関連の説明はﾁﾝﾌﾟﾝｶﾝﾌﾟﾝだったけど。アニメ化したらハマりそう。デビュー作もぜひ読みたくなった。小晴が時々心晴になっているくらいで他に気がついた誤植もなかった。2022/07/09
ダイトウ産
29
非常に面白い！裁判官がAIとなった世界。AI裁判官はあくまで過去の判例と法律を学習するので、判例主義による過学習が避けられず人間によるソフト対策が必要という話を小説にしたもの。人間の曖昧さがあって、初めて、絶妙な最適化が可能であり、最適化は数学的な最適化では無いと。ところで、AIの活用方法で人工義足が出てきた。脳波と手の動き方をAIに読ませて、オーダーメイドの義足を作るというもの。その時に、超音波を潜り込ませると人間に気づかれずに特殊な結果を導けるなど、なるほど！と思う描写がすごい！そう、これほ凄い小説！2023/01/02
