出版社内容情報
第3回ハヤカワSFコンテスト〈大賞〉受賞後、第2長篇『ゲームの王国』で日本SF大賞および山本周五郎賞を受賞した小川哲。その受賞後第一作となる短篇集を刊行する。奇想小説、歴史小説、そしてSF小説……ジャンルすべてを包含して止揚する傑作集の誕生。
内容説明
零落した稀代のマジシャンがタイムトラベルに挑む「魔術師」、名馬・スペシャルウィークの血統に我が身を重ねる「ひとすじの光」、無限の勝利を望む東フランクの王を永遠に呪縛する「時の扉」、音楽を通貨とする小さな島の伝説を探る「ムジカ・ムンダーナ」、ファッションとカルチャーが絶え果てた未来に残された「最後の不良」、CIA工作員が共産主義の消滅を企む「嘘と正典」の全6篇を収録。
著者等紹介
小川哲[オガワサトシ]
1986年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程退学。2015年に第3回ハヤカワSFコンテスト“大賞”を『ユートロニカのこちら側』で受賞し、デビュー。2017年に発表した第2長篇『ゲームの王国』が第39回吉川英治文学新人賞最終候補となり、その後、第38回日本SF大賞と第31回山本周五郎賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
376
第162回 直木賞受賞作候補作、漸くコンプリートです。(5/5)小川 哲、初読です。表紙は誰かと思いきや、マルクスだったんですね。本書は、SF中心のバラエティに富んだ短編集でした。オススメは『魔術師』&『最後の不良』&『噓と正典 』です。 https://www.shosetsu-maru.com/storybox/interview/782020/09/04
bunmei
243
第162回直木賞候補作品。初読みの作家さんでしたが、歴史や科学の豊富な専門的な知識を駆使し、かなりマニアックで幅広い題材が印象的な6編を描いています。各作品において、タイムトラベルや時の流れといったSF的な『時間』をテーマにしており、その為やや物語の流れの繋がりを理解するのが難しい部分はあります。しかし、読み終わると、その壮大な時のドラマに感嘆します。特に【嘘の正典】は、冷戦時代の遺物とも言えるCIA対KGBの構図の中に、思想や科学的な裏付けも加わり、直木賞候補に相応しい、読み応えある作品でした。2019/12/29
楽
199
2019年。翌年の直木賞の候補作。初読みの作家さんで『ゲームの王国』は未読。みなさんの感想を拝見すると賛否分かれるようで、私も最初の「魔術師」はよくわからず。SFでもありミステリでもある。どの短編も読みやすいが、一度読んだだけではオチが理解できず、読み直しを余儀なくされることも。どれも面白いのだが、表題作「嘘と正典」は素晴らしい。これだけでも読む価値がある。モチーフは目新しいものではないが設定が巧い。これは読み直しなしで理解できた。その他の短編はコメントで。2022/09/23
うっちー
185
直木賞候補納得。この作者は独特の世界観があります2020/02/23
遥かなる想い
151
SFの短編集だが、意表を突いた展開が多く、どう転ぶのかスリルがあって 面白い。 SF的な色彩は薄く、 気のせいか 父と息子の物語が多いのは 著者の嗜好なのだろうか…正直 多彩なテーマが 逆に 読んでいて きつい。 父を想う息子の心境が 心に残る…そんな印象の短編集だった。2021/06/03