出版社内容情報
アメリカの人気作家ジャックと、イギリスの読者イヴ。料理好きの二人はたまたま文通を始め、次第に互いを心の支えにするようになる。
内容説明
イギリスの田舎で静かに暮らすイヴと、アメリカの人気作家ジャックを結びつけたのは、イヴが送ったファンレターだった。成人した娘との関係に悩むイヴと、恋愛で失敗してばかりのジャック。文通を始めた二人は、料理好きという点で意気投合し、レシピを教え合い、しだいに互いを心の支えと感じるようになる。そしてジャックはイヴにある提案をする―「一度会いませんか。パリで」。寂しさを抱える大人たちを描いた、さわやかで心温まる物語。
著者等紹介
マッキンリー,デボラ[マッキンリー,デボラ] [McKinlay,Deborah]
ニュージーランド生まれの作家、コラムニスト。“ヴォーグ”、“コスモポリタン”をはじめとする様々な雑誌にコラムを寄稿。ノンフィクション作品を発表した後、2011年に初の長篇小説The View from Hereを発表。イギリス在住
国弘喜美代[クニヒロキミヨ]
大阪外国語大学外国語学部卒業、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
norstrilia
49
もはや映画(ノベライズではなく)。普通なら手紙を通じて描かれる恋愛もの、という側面が強いはずなのに、読後の印象は、二人の交流と並行して描かれる大人(中年)の再生譚。ある意味では「青春」もの。ただ、その抽象的になりがちな題材を、手紙・料理・恋愛といった小道具で象徴的に演出していて、実に洒落ている。作中の雰囲気も含めて、個人的にとても好みの一冊だった。2016/02/21
miyu
45
意外によかった。「チャリング・クロス街84番地」のように心癒せる何かを媒体にして、離れた見知らぬ人との繋がりを深めてゆけたら幸せだろう。互いに色々抱えた大人の二人なのでその間柄が性急に近づくこともない。このまま交わらずに自然消滅するのだろうかと不安になったラストで、結局はニマニマすることになってホッとした。(実際にニマニマしたのはジャックだろうが・笑) 歳相応な人生を送っていてもイヴやジャックのように心と身体の隅っこで人生となかなか折り合いをつけられない人もいる。自分もそうだからか、それがよくわかった。2015/10/03
くさてる
28
良かった。家族との葛藤を抱えたまま、娘の結婚式を迎えようとしているイギリスに住む女性、イヴと、中年の危機を迎えてスランプに陥っているアメリカの作家、ジャック。料理が好きな二人は文通を通じて、レシピを交換し合い、恋愛とは微妙に違う心のつながりで惹かれあっていく。それがお互いの人生にも影響を与えて…という内容。恋愛物ではなく、むしろ中年にさしかかった男女がどう自分の人生に向き合うのかというテーマを、優しくロマンティックに描いていて、物語の着地点が心地良かった。後味の良い一冊です。2015/11/03
ぽてち
23
50歳の誕生日を目前にしたアメリカの人気作家のもとに、1通のファンレターが届く。差出人はイギリスに住む中年女性。料理をキーワードになんとなく文通(!)が始まり、やがて作家はパリで会うことを提案する……。まあ、ありがちな話だよなと思いながら読んでいたが、中盤から予想外の方向に進んでいき、最後は満足のため息を吐いた。男と女、母と娘、別れた夫婦など、様々な形の人間関係が描かれた佳作だった。2020/05/09
天一
17
文通っていいなぁ……改めて感動。昔も憧れたことあったけど、言葉を選んで選んで、メールではなく手紙を久々に書いてみたくなった。 それぞれの人生、私もうまくいかないことばかりだけど、ふとしたきっかけで何かが変わる。どんな人にでもそういう可能性はあるはず。2016/05/22