出版社内容情報
クリスティー賞授賞式会場で起きた殺人事件の真相とは? 『致死量未満の殺人』で正統派本格の新たな旗手として好評を得た第三回アガサ・クリスティー賞作家が贈る5篇収録の本格ミステリ連作集
内容説明
作家志望の青年は、新人賞に落ち続けることに絶望し、人生最後の旅に赴く。名前を棄て、家族を棄て、友人を棄て、わずかな金と数枚の黒い服、数冊の愛読書を黒いトランクに詰め込んだ。金田耕一、明田五郎、神沢恭一、星川龍一…古今の名探偵にちなんで名乗った偽名ゆえか、青年は行く先々で奇妙な事件に出会う。そして、旅が終わりを告げるかに思われた東京・信濃町のアガサ・クリスティー賞授賞式の会場でも悲劇は起きた!三沢陽一、有栖川有栖、東直己、森晶麿、青柳碧人、千街晶之、笹川吉晴等々、関係者が実名で登場する授賞パーティの最中に起きた殺人事件の真相とは?5篇収録の本格ミステリ連作集。
著者等紹介
三沢陽一[ミサワヨウイチ]
1980年、長野県岡谷市生まれ。東北大学大学院法学研究科修士課程修了。大学研究助手などの仕事をしながら、各種文学賞に投稿し、2013年『致死量未満の殺人』で第3回アガサ・クリスティー賞を受賞し、デビューを飾る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
だんじろー
67
これは厳しいなあ。“夢想探偵”とでも呼べばいいのか、前半四話までの語り手がとにかく暗い! その上、世捨て人のはずなのに、自ら事件に頭を突っ込むような行動の数々。いくら短編とはいえ、登場人物の肉付けをおろそかにすると、起伏に欠ける平板さが目立ってしまう。更に、トリックの既視感は致し方ないとしても、「読ませ方」に個性が感じられない。筆者はまだ若い方なので、優等生を目指すのではなく、自分にしか書けない作風を模索したほうが良いのではないか。最終話も、結果的に“泡坂妻夫”風の域を超えられなかった。2016/06/04
すい
67
三沢先生の有栖川有栖愛に満ち溢れた本。死地を求めて東北を旅する主人公が出会う事件の数々。けれど、すでに終結を見ている事件も含めて、真相に辿り着いてもそれを明かさずに土地を去るので読後感はもやもや。ただ、真相に辿り着くまでに問題(夢のお告げ)があるので、例えイタコで有名な青森と言えども言い出せないのは納得だ。ラスト、アガサクリスティ賞授賞式で有栖先生が殺されるという事件が起きるまでの長いプロローグとして短編4編は贅沢すぎるような気も。前作に比べて文章は読み易くなっているが、お話が軽くなっているのが残念だ。 2014/12/14
aquamarine
66
旅先で事件に関わってしまった主人公が真相を推理する連作短編の形で話が進みます。真相に到達するきっかけがちょっとどうかなという思いはありますが普通に謎解きを楽しむことができました。ラストだけは繋がってはいるもののちょっと違います。事前に読友さんたちが有栖川ファンなら一読の価値ありと言っていた理由がわかり納得しました。でも楽屋裏を覗き見ているようで私はあまり好きじゃないかも。話題性としては抜群かもしれませんがトリック、動機ともにあまりピンと来なかったのも残念です。悪くはないので次作の更なる成長を期待します。2015/03/17
雪紫
65
再読。被害者は有栖川有栖。探偵役は千街晶之。有栖川さんへの愛が詰められてるのに、有栖川さんをあれな動機で(一応メインです)最後の事件の被害者にするという蛮行に読者として笑うか有罪判断すべきか。ある意味思いついたもん勝ちだけど(笑)少なくとも現実でやったらギルティー。美味しそうな食べ物と対照的になんとも言えない後味が残るそれまでの短編とはまさに正反対(褒めてます)。なお、道行1と道行3好きですよ。 2021/10/01
Yuna Ioki☆
52
1416-112-19 致死量未満の殺人が面白かっただけに三沢陽一作品に対する期待度を上げすぎてしまっていたかもしれない(笑)普通に面白かったかいかんせん短編集なだけにかな~り物足りないまま終了(笑)ラストのストーリーは三沢陽一氏がどれだけ有栖川有栖氏ラブ♥なのかが分かるようになっている(笑)2016/05/07