出版社内容情報
成人してそれぞれの道を歩むバージェス家の三人の子供。その固まりきった関係を、ある事件が揺り動かす。家族のあり方を描くピュリッツァー賞受賞作『オリーヴ・キタリッジの生活』著者の最新作
内容説明
息子が事件を起こした、助けてほしい―妹からの電話をきっかけにニューヨークに住む兄弟は久しぶりに帰郷する。それは家族との絆さえ揺り動かす一年の始まりだった。『オリーヴ・キタリッジの生活』でピュリッツァー賞を受賞した著者が描く、ある家族の物語。
著者等紹介
ストラウト,エリザベス[ストラウト,エリザベス] [Strout,Elizabeth]
1956年にメイン州ポートランドで生まれる。第一長篇『目覚めの季節 エイミーとイザベル』(1998)でオレンジ賞とペン/フォークナー賞の候補となり、“ロサンジェルス・タイムズ”新人賞および“シカゴ・トリビューン”ハートランド賞を受賞。2008年に発表した『オリーヴ・キタリッジの生活』(ハヤカワepi文庫)でピュリッツァー賞を受賞。メイン州とニューヨーク市に暮らす
小川高義[オガワタカヨシ]
1956年生、東京大学大学院修士課程修了、英米文学翻訳家、東京工業大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
276
【原書】バージェスboysのboysは誰を指すのか、ずっと考えながら読んでいた。優秀な長男のジムと、彼とひきくらべていつもバカにされてた(でも人間力は一流)の次男はともかく、彼らの父親も?ボブと双子のスージー(こちらもツイてない人生)の息子ザックは姓が違うけれど、広義のバージェスboyなのか。父親の事故についての兄弟の会話には鳥肌が立った。家族の孤独・サポート・それに伴う煩わしさ、メイン州と大都会ニューヨークの対比、移民問題...。筆者のメッセージがギューっと詰まった作品。改めて上手い作家だなぁと思う。2017/08/12
ケイ
106
原罪とは何だろう。キリスト教によれば、みな罪を抱えて生まれてきたらしい。だから、キリストが原罪をもつ子供達の罪を背負ってくれているようなのだが。バージェスboysの背負う原罪、罪の意識に対し、神の子はどうしてくれるのだろうか。子供にそんな罪悪感を持たせるなんてこと、親は絶対にしてはいけないのだと思う。キタリッジがその筆力をもって描き出すものに書ける感想なんて…、文章にできない。感動とか、すごいとか、そういうレベルを超え、ただ唖然とするしかない。2017/06/16
なゆ
90
オリーヴ・キタリッジの話が好きだったので、こちらも読んでみる。確かオリーヴの方で何度か“息子があんな事件を起こした気の毒な家族”みたいに言われてたような気がして、この事だったのか〜と。メイン州の小さな町生まれのバージェス家の物語。大人になりニューヨークで暮らすジムとボブの元に、故郷で暮らすスーザンの息子が事件を起こしたと連絡が入る。ジムの妻、ボブの元妻たちから見たバージェス家、いい味だしてるドリンクウォーターさん。アブディカリムの「あの子が無事でありますように」の言葉がたまらない。赦せるってすごいことだ。2021/09/14
mii22.
77
感想がとても難しい。だけど、とても惹かれる作品だ。バージェス家の兄弟たちが背負ったものの大きさ重さを思うと、人生の修正書き換え上書きはそう簡単には出来ないものだと思う。人は歳を重ねるごとにいろいろ背負うものが増えてくる。ひとつ荷を下ろしてもまた背負い込む。その繰り返し。何事もそううまくはいかないものだ。愛することより赦すことの方が難しいとも思う。この物語は心をえぐられるほどではないが身につまされることが多い。チクチク刺される。でも最後は前向きになれる。ちょっと笑顔になれる。2018/11/15
キムチ
66
筆者は初読。ピューリッツァー賞作家の名に相応しい骨太い展開、文体を味わえた。原題からするとバージェス家の兄弟ジムとボブにライトが。なじみのないメイン州の地域社会。兄弟が住むニューヨークとは近い事で共に妹スーザンとの濃い交流を持つ。実際あった【豚の頭事件】の犯人がザックであった事から緩やかな螺旋形で【家】が瓦解始まる。400頁余はみっしり人間交流の縮図が詰まり息をつかせぬ。再読の度に気付かされる事が多そうなㇲトラウトの巧みな情景描写の表現。家庭内の葛藤は父の不慮の事故に端を発し今回の伏線となっていた。町と州2024/08/07
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