あるときの物語〈下〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 322p
  • 商品コード 9784152094421
  • Cコード C0097

内容説明

人生を終わらせようと決意したナオは、その前に敬愛する曾祖母、104歳の尼僧ジコウの生涯について書き残そうと考えて日記をつづる。ナオの日記を読み進めるルースは、様々な問いを抱える。日記はなぜ今ここにあるのか?津波に運ばれてきたのだろうか?そして、ナオはどうなってしまうのか―交錯し、共鳴する人々の運命が向かう先とは。日系人作家の圧倒的な大作。

著者等紹介

オゼキ,ルース[オゼキ,ルース] [Ozeki,Ruth]
アメリカのコネチカット州で、アメリカ人の父と日本人の母のもとに生まれる。スミス・カレッジにて英文学とアジア研究で学位を取得したのち、文部省の留学生として奈良女子大学大学院で日本古典文学を学ぶ。1985年に帰国し、ホラー映画やテレビ番組の制作を経て、映画を撮りはじめる。手がけた映画作品は各地の映画祭で上映されるなど高い評価を受けた。1998年にデビュー長篇『イヤー・オブ・ミート』を発表し、大型新人として注目を集める。2010年に曹洞宗の僧侶となる

田中文[タナカフミ]
東北大学卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

57
物理・時間的制約を乗り越えた思いが、張り詰めた糸、心を取り戻させる。価値観と現実との乖離の理解。受領・拒否の問題ではない。故の表題であり、刹那。「心と言葉」が印象的。真実は1つなれど、その時その時の心理状態から、言語・非言語の解釈は影響される。日記の”変化”も、そんな心理状態と連動している気がする。時空を超越した展開は興味深いものの、やはり描写される日本文化と歴史認識の一部表現に違和感。スピリチュアルな面を醸し出す手法の1つだったのかもしれませんね。2017/09/24

昼夜

33
一冊の本を目の前にして理系がからっきしの自分がどれだけの数存在しうるのか、内容もまた表紙を開いたりページを捲るときに変化しうるとかの理論なんかひとつも飲み込めてないし、合ってるのかさえ分からないけど凄くドキドキした。これが本を読むのを読められない理由のひとつかもしれないと思う。ナオの書くジコウの人生を物凄く読みたい、読んでる私も存在しているかもしれないと思うとまたドキドキする。六十四億九万九千九百八十の刹那を28×365と少しを一刹那も感じず大事にしなかった。時折、指を鳴らして刹那を感じてみようかな。2014/05/27

りつこ

26
いじめ、失業、自殺、震災…いいことなんか一つもなくて一人ぼっちで無力で未来は真っ暗。これ以上ないくらい傷つけられて死ぬことしか目標が見つからないような少女。辛い物語だったが、104歳の尼僧ジクウに救いを感じながら読んだ。広げた風呂敷をどうやってたたむのだろうと思っていたのだが、いや見事。時空を越えて私とあなたが通じあえたとき、そこに希望があるといいなぁ…。人間の悪意は死にたくなるほど酷いけれど、とりあえず今のところは生きろ。素晴らしい。2014/06/16

ゆう

15
普段なら絶対読むのを避ける方向の話だが、投げ出さないで読み終えたのは、ナオの語りがなんて言うか暗くなかったから。結末をはっきりさせない終わり方も、この物語にはふさわしいのかな。2021/06/01

ソングライン

13
日本人の中学生のナオの日記と特攻隊として亡くなった彼女の大叔父ハルキが書いたフランス語の日記を読み進めるカナダに住む作家ルース。日記に書かれていたナオと父の自殺願望と残された短い生の時間の中でハルキが見つけた人間の良心。10年前のナオの生きた東京とルースの生きる現在がつながった時、ある奇跡が起こります。戦争、いじめという不条理を体験したハルキとその母ジコウの良心がナオと遠く離れたルースを救う物語に感動です。2025/04/04

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/7964684
  • ご注意事項

最近チェックした商品