出版社内容情報
東日本大震災を経て、故郷・広島へと移り住んだ著者は、いまなにを思うのか。原発について、家族について、そしてSF的想像力に満ちた日々の暮らしについて……SFマガジン同題連載の単行本化
内容説明
3・11を契機に、広島へと移住した「ぼく」は、これからどのように生きるべきか、過去から学ぼうとしていた。日々の生活は静謐かつ思索的なもので、SF的なイマジネーションに満ちている。自分のこと、家族のこと、津波のこと、放射能のこと…そんな「ぼく」の想いは、過去から現在、未来へと縦横無尽に駆け巡り、広島から東京、やがては福島へと辿り着く―西島大介はいま、なにを考えているのか?そしてその創造力の源泉にあるものとは?著者の新境地を切り拓く、SFエッセイコミック。
目次
宇宙港
海のトンネル
過去
信じられないもの
美術館
記憶
涙
祝祭の日
著者等紹介
西島大介[ニシジマダイスケ]
1974年生まれ。2004年、『凹村戦争』(ハヤカワ文庫JA)でデビュー。同年、第35回星雲賞アート部門を受賞。2012年、『すべてがちょっとずつ優しい世界』(講談社)で第3回広島本大賞を受賞。「ひらめき☆マンガ学校」主宰や、「DJまほうつかい」名義での音楽活動など、ワン・アンド・オンリーの漫画家として、多彩な分野で活躍を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
42
『凹村戦争』『すべてがちょっとずつ優しい世界』の漫画家・西島大介が2013年に出した身辺雑記漫画。書名は映画『ブレードランナー』の台詞だそうだ。東日本大震災直後、18年住んだ東京から広島に越して来た著者。広島に住むのは3度目らしい。広島で放射能や家族について、言葉少なに考える。可愛い絵柄ながら全てが夜の様な世界である。広島県民には「ああ、あそこか」と思う部分があり楽しい。広島から仕事で東京に行き、喫茶店で泣く著者。いろんな思いがあろう。そして最後は福島へ。西島さんが今、広島で幸せである事を願う。2015/11/11
多田幾多
24
「つまり僕は3.11後の世界で被爆者としてどう生きるべきか学ぼうとしていた。過去から。」東京から広島に移した西島大介のエッセイ本。自分は何か出来ないのだろうか?と悩む著者は、父や義父、そして今は亡き魂から、そして著者は、「絵」で届けようと思ったのだ。それが今の自分に、出来る事。シンプルに、率直に思ってる事だけが描かれていて、なぜか安心する。たとえ今がどんなに苦難な時でも、いずれ過去になる。2014/09/29
kanon
6
西島大介のコミックエッセイ。震災のことについて考える。自分は何が出来るのかとか。こんなに深く自分の住んでいる場所とかのこと考えたことはないなあ。失ったあとに気付くのかもしれない。西島さんは重ねていたのだろうか、故郷と。2017/03/26
マリオネット・ブックマーク
5
珍しい(?)、漫画でのエッセイ。作者が東日本大震災を経験して思ったことを、恐らくとりとめのつかないまま、SF的イマジネーションをもってして無理矢理読ませるものに仕立てあげている。「無理矢理」といっても、不快感のあるものじゃないので大丈夫。ページ数も少ないし、コマ割りも大きめなので、コストパフォーマンスは極端に悪いが、作者のファンなら買って損はしないはず。 「第七話 涙」で、作者の幼かった頃の娘が駆け抜けていった気がしたシーン。『ヱヴァQ』とか「バベルの牢獄」(法月綸太郎著『ノックス・マシン』収録)での→2013/11/18
参謀
4
3.11を契機に広島に引っ越した作者。原爆の落ちた広島から、原発事故の起こった福島を考える。過去から未来へ。自分のこと、家族のこと、子供達のこと。そして住んでいる場所。それぞれについて思いを馳せる。西島大介の少しSFチックなエッセイ風漫画。2014/11/09