マリッジ・プロット

ユージェニデス，ジェフリー【著】〈Ｅｕｇｅｎｉｄｅｓ，Ｊｅｆｆｒｅｙ〉/佐々田 雅子【訳】

早川書房（2013/03発売）

• サイズ B6判／ページ数 604p／高さ 20cm
• 商品コード 9784152093615
• NDC分類 933
• Cコード C0097

出版社内容情報

名門大学の英文科に通うマデリンと、同級生の男子ふたりとのこじれた三角関係を描く、王道の恋愛小説。『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』『ミドルセックス』の著者、十年ぶりの最新長篇！

内容説明

大学の卒業式の朝、ベッドに横たわるマデリン（英文学専攻）は騒々しく鳴り続ける玄関ブザーの音にびくりとなった。鳴らしているのは式を楽しみにやってきた両親だ。しかし彼女の髪は乱れに乱れ、ひどい二日酔いのせいで意識は朦朧。深酒をした理由なんて思い出したくもない。すべてはひどい恋愛のせいなのだ！それでもマデリンは立ち上がり、ドアへと向かう―こうしてはじまる恋愛喜劇。マデリンがミッチェル（宗教学専攻）、レナード（生物学、哲学専攻）と繰り広げるこじれた三角関係はどこへ向かうのか？１９８０年代のアメリカの大学を舞台に、ピュリッツァー賞作家が流麗な筆致で描く、現代のマリッジ・プロット。サロン・ブック・アワード受賞。

著者等紹介

ユージェニデス，ジェフリー［ユージェニデス，ジェフリー］［Ｅｕｇｅｎｉｄｅｓ，Ｊｅｆｆｒｅｙ］
小説家。１９６０年、ミシガン州デトロイト生まれ。ブラウン大学で英文学を学び、卒業後はスタンフォード大学の創作科で修士号を取得した。１９９３年発表のデビュー長篇『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』（ハヤカワ文庫）は、大きな批評的反響を呼び、三十ヵ国以上で翻訳される。２００２年、第二長篇『ミドルセックス』（早川書房）はピュリッツァー賞に輝く。２０１１年発表の第三長篇『マリッジ・プロット』は著名文芸サイト主催のサロン・ブック・アワードを受賞した他、同年のニューヨーク・タイムズを含む七有力紙誌にて年間のベストブックに選出された

佐々田雅子［ササダマサコ］
立教大学文学部英米文学科卒、英米文学翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[星落秋風五丈原]

3人の片恋の矢印は、全て一方向をむいている。男女が苦難をくぐり抜けて結婚まで行き着く事をマリッジ・プロットという。いわゆるジェーン・オースティンの一連の小説がそうである。ブロンテ姉妹の小説『ジェーン・エア』もそれにあたる。現代に生きるマデリンたちは、研究課題として「結婚に至る恋愛」を選んでいるだけで、社会は恋愛即結婚という風潮ではない。ただマデリンの親たちは堅実を尊び、危なっかしそうなレナードとマデリンの仲を危ぶむ。恋愛や心理学を研究して知ったつもりになったところで生身の人間との交流にはしょせん無意味。

2024/09/17

[りつこ]

最初はいったいどういう物語が進んでいくのか検討もつかず「？」だったのだが、男たちのパートに入ってから俄然面白くなった。身勝手にしか思えなかったレナードの苦悩、単なる無粋な男にしか見えなかったミッチェルの葛藤、そして二人の男たちから見たマデリン。定まらない未来への不安、躁鬱病、恋愛、家族との軋轢、宗教、ジェンダーを、ユーモアも交えて描ききっている。ユージェニデスはこれで3冊目なのだがテーマや筆致がそれぞれ違っててい一体どういう作風なのかいまだつかみ切れないのだが、間違いなく面白い。満足。

2013/05/02

[green tea]

現代らしいラブコメ どのシーンも切なくてコミカルで楽しくて痛々しい 登場人物のマデリンとレナードとミッチェルが すごい魅力的でかわいらしくて等身大 アメリカの学生の生活ぶりも興味深く読める

2013/06/12

[けいと]

巡礼あたりから俄然面白くなってきた。病を抱えて生きるというレナードの苦しみ。宗教を通して生きる道に悩み続けるミッチェル。この二人に対してマデリンのなんとタフなこと。マデリンに共感できたのって壁紙のマドレーヌが好きってところだけかな。

2013/06/26

[猫のゆり]

一人のかわいい女の子と二人の男をめぐるラブコメディで最後はどちらかと結ばれる・・っていう話なのかと思って読んだら、ずっとハードな物語だった（特に躁鬱病のくだりは辛かった）。他人と関わっては小さな棘が刺さり、自分のやりたいことをやれる手立てを探してがんばる。親や兄弟との葛藤もあり。そんな彼らの姿はまっとうで眩しく、時に失敗して落ち込む時でさえ輝いて見える。

2013/05/02