内容説明
過去は変わらないはずだった―1992年の夏、中学2年生の美雪は、未来からやってきた保彦と出会う。旧校舎崩壊事故に巻きこまれた彼を救うため、10年後へ跳んで携帯電話を持ち帰った。そして2002年の夏、思いがけず作家となった美雪は、その経験を題材にした一冊の小説を上梓した。彼と過ごしたひと夏、事故、時空を超える薬、突然の別れ…。しかしタイムリープ当日になっても10年前の自分は現れない。不審に思い調べていくなかで、同級生の連続死など記憶にない事実が起きていることに気づく。過去と現在の矛盾が生み出した、残酷な夏の結末とは―。
著者等紹介
法条遥[ホウジョウハルカ]
1982年静岡県生まれ。2010年、第17回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作『バイロケーション』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みっちゃん
84
最初は【時をかける少女】みたいな話なのかと思った。プロローグ。未来から来た少年を救う為、10年後に飛んでくる自分を待つ主人公。えっ?こ、来ないの!?そもそも、かの転校生と一夏を過ごす少女は誰なのか?章が改まる度に刻々と変わるその名前。混乱する頭。いつの間にか死んでいた同級生、卒業アルバムのあり得ない写真。そして同窓会の夜、明らかになる驚愕の真実!心臓はバクバク、頭はグラグラ、過呼吸になるかと思った。「待っ」の2文字しかないラスト1行が恐ろしい。第3弾まで出ているらしいので、すぐ読みたい!2014/09/10
だんじろー
79
4部作の1本目とのこと。実に良く出来ている。手に取るまでは正直舐めてかかっていたが、どうしてどうして、決して一筋縄ではいかない手応え。再読必死。メモ帳必携。冷静になって考えると、突っ込む部分が無いではないが、そんな杞憂を吹き飛ばしてしまうほど、圧倒的な面白さがぐいぐい迫ってくる。ここはひとつ、静かに目を閉じて、ラベンダーの芳香に身を任せてみようか。2015/09/12
藤月はな(灯れ松明の火)
77
ロマンチックな『時をかける少女』の爽やか成分を稀釈し、湊かなえ作品や乾くるみの『リピート』にも通じる人間の無自覚なエゴや傲慢さなどの悪感情を大量投入したかの如きSF。BGMでアジカンのrewriteを聴いていたので前向きな歌詞が一気に「覚えていやがれ・・・」という意味合いに変わってしまった薄ら寒さよ。ころころ変わる視点で見当が付きましたが途中でノイズのように入るおかしな視点で「お前は誰だ?」と思ったままでした。しかし、あの精神やりチンの未来人は本当にムカついたので決して幸せにならないラストですっきり(黒笑2013/09/05
マムみかん(*ほぼ一言感想*)
45
『時をかける少女』へのオマージュ作品ということと、タイムリープ(タイムトラベル)もの好きなので読んでみました。 期待した甘酸っぱさ、爽やかさは皆無で、ちょっと残念(笑) でも、SFに殺人事件のミステリーやホラーテイストも加わった豪華さ、一気に読める面白さで良かったです! ただ、語り手の「私」がコロコロ替わったり、なんとなく読みにくさを感じたりしたのですが…それは作者の術中にはまっていたのですね〜☆ ラスト40ページの怒涛の種明かし、ブラックな結末に脱帽です!! 2012/07/24
とも
43
★★★★読み始めると、すぐに感じるのは 何かしら漂うヤバイ雰囲気は、読み進めるうちに、度々おかしなことに気づき、前に戻っての読み返しを続けるうちに、作者の騙し絵の糸が見えてくる(というか気がする)。が、エピローグに導入するや、前半に完次忘れていた 凶暴性が突如姿を現れす。 とは言うものの、ネットなんかで この作品について調べてみると、読んだ時には気づかなかった この作品に仕掛けられた複雑なトリックが出るわ出るは。 その説明をみて、改めてこの作品の奥深さをに感じ入りを感じいった次第である。2017/03/18
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