内容説明
職なし金なし行くあてなし。生まれ故郷を追われて流れ歩くどん詰まりの無宿渡世人、亨介と欣蔵。二人を変えたのは偶然手に入れたご禁制の拳銃だった。「おれたちはギャングだ!生きていてえやつは、テラ箱置いてとっとと失せろ」日本初のギャングが拳銃片手に賭場から賭場を荒らし、龍馬や新撰組が暗躍する幕末を駈ける。その鮮烈な軌跡の果ては?矢作・司城ゴールデンコンビが放つロード&クライム。
著者等紹介
矢作俊彦[ヤハギトシヒコ]
1950年横浜生まれ。72年ミステリマガジン掲載の短篇「抱きしめたい」で小説家デビュー。以後、『マイク・ハマーへ伝言』などで注目を集め、テレビ、ラジオ、映画、漫画など多方面で活躍。83年、司城志朗との共著『暗闇にノーサイド』で角川小説賞を受賞。98年『あ・じゃ・ぱん!』でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。2004年『ららら科學の子』で三島由紀夫賞、『THE WRONG GOODBYEロング・グッドバイ』で日本冒険小説協会大賞に輝く
司城志朗[ツカサキシロウ]
1950年愛知県生まれ。名古屋大学文学部卒業。放送作家などを経て小説家になる。83年、矢作俊彦との共著『暗闇にノーサイド』で角川小説賞を受賞。94年『ひとつぶの砂で砂漠を語れ』で開高健賞奨励賞、98年『ゲノム・ハザード』でサントリーミステリー大賞読者賞に輝く(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Bugsy Malone
67
帯にあるのは《幕末版「明日に向かって撃て!」》。二人の共著では「暗闇にノーサイド」や「海から来たサムライ」という自分としてはとっても大好きな作品がありまして、これもまたその系統を継ぎつつ好きな輩にとってはサービス旺盛なエンターテインメントとなっていたと感じます。2011年発行の本作ですが、良い脚本と俳優さん次第ですが、今だからこそ映像化すれば凄く新鮮な映画になるのではと思ったりもしました。2021/06/11
そら丸
9
幕末版「明日に向かってうて」!面白すぎる!これは傑作だあ。二人の無名の渡世人に絡む坂本龍馬、土方歳三。この渡世人に生きざまがカッコいい!。映画化希望!2011/07/10
マムみかん(*ほぼ一言感想*)
7
名画座で『スティング』との2本立てで観たな〜『明日に向かって撃て!』。 しびれましたよ。大好き。 こちらはその幕末版。 やむなく渡世人となった亨介と欣蔵。 ひょんなことからライフルと拳銃を手に入れ、「股旅ギャング」となる。 人気講釈師・天祐が、その追跡リポートを演目にしたため、いつの間にか2人は義賊・世直しの象徴のようになり…。 でも、いつかは祭りは終わるんですよね。 映画化したら、ラストはやっぱり名シーンになると思います☆ 2011/07/15
まんだよつお
5
矢作・司城コンビによる名作映画へのオマージュ。場面場面に、かつて観た邦画・洋画の名シーンがかぶってくる。亨介と欣蔵が仁義を切りあう場面は、市川崑の「股旅」。二人のなりゆきまかせ、風に吹かれてのその日暮らしは、テレビ「傷だらけの天使」のオサムとアキラの関係か。紅一点の舞を加えた股旅ギャングの暴れっぷりは、もちろん「明日に向って撃て!」だし、一斉射撃を浴びるラストは「明日に…」のストップモーションとともに、「俺たちに明日はない」の゛死のダンス゛をも彷彿とさせる。2011/10/19
1O3O
5
矢作俊彦・司城志朗「ARAKURE あらくれ」読了。賭場で出遭った支那人からライフルと拳銃を入手した二人組。ギャングを名乗り幕末を駆け抜ける二人の運命は? 全く読んだことのないジャンルだったので、新鮮味を覚えた。痛快で単純に面白い。(しかし何故にハヤカワ・ミステリワールド……)「粋」の鑑のような生き様で、理屈抜きにカッコイイ。それこそ講釈の長い一遍を読み終えたかのよう。逆に物語に深みはないので、そこが評価の分かれ目かも。坂本龍馬や新撰組も登場して物語に絡んでくるので、幕末に興味のある人はより一層楽しめそう2011/10/11