内容説明
奇妙に傾く狂気の城、奇傾城―血と内臓と腐肉が主題の絵画が集う一室に幽霊が出没する噂がたち、“探偵”亜久は心霊特番に協力して城を訪れる。遅れて“霊能リポーター”役の女子高生、全身黒服の少女・黒が現れ、亜久にそっと囁いた。「あなたは、鋏が好きですか」…やがて密室状況で、黒と親しい男がくだんの部屋で首を切断された。これは幽霊の凶行か?呪わしく美しい純愛(変愛)本格ミステリ。
著者等紹介
飛鳥部勝則[アスカベカツノリ]
1964年新潟県生まれ。新潟大学大学院教育学研究科修了。1998年『殉教カテリナ車輪』で第9回鮎川哲也賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
295
叙述トリックの使い方、意表を突く動機等、マニアックな趣向満載のミステリ。且つ『ラミア虐殺』の続編という、盛りだくさんぶり。見どころは杉さん無双。どこかで修行してきたと思われる。ミステリ面は先述のようにとにかくマニアック。マニアックな心境で臨まなければ許容出来ないようなトリックも…。厨二全開ヒロインも激しく読者を振るいにかける。「なぜ縄を咥えていたの?」とか突っ込んではいけない。この作品を介する事で『殉教~』『堕天使~』『ラミア~』の世界が一つに繋がったが、ミステリのトリックなぞもはやどうでもよくなる。2016/11/01
nobby
109
知らずに読んだらぶっ飛ぶであろう今作も、ほぼ刊行順に読んできた自分はニヤリ繰り返すばかり(笑)不思議な美少女をめぐる変態・背徳な狂乱な恋愛模様は、エログロ少なめで偏重だが間違いなく純愛。やはり『ラミア虐殺』読了後の方が楽しめるのでは。後半見覚えのある名前に続々行き着く展開に「来た!来た!」とゾクゾクする!それでいて、死体消失や密室トリックは素晴らしく本格ミステリだからたまらない。あの叙述は苦笑だったけど…何にしろ現状での飛鳥部作品読破に充実感じながらも寂しい限り。2017/06/13
★Masako★
88
★★★★ 「ラミア虐殺」が面白かったので姉妹編のこちらも読んでみたが、またまた不思議・飛鳥部ワールドに嵌ってしまった!前作同様、謎めいた序幕から引きずり込まれる。幽霊が出ると噂の、見た目も空気も歪んだ“奇傾城”、密室状況の部屋で首を切断された死体、怪しげな地下室…現実から過去へ。過去から現実へ。揺さぶられながら見えてくる狂気と真実と一人の少女への歪んだ愛。後半の怒涛の展開には、思わず“きた〜!”とニンマリ♪本格ミステリ&怪奇SF&偏愛小説。他にも色々(笑) ラストの一行が印象的♪ 続編…あるといいな。2020/02/19
aquamarine
79
凄いものを読みました。読友さんが絶賛なのが良く分かりました。感想は下手にいろいろ書かない方がよさそうですね。表紙絵そのままの世界がそこにあります。これでもかというほど振り回されてクライマックスはまるで映像を見ているようなスピード感。でもちゃんとグロくて痛くて夜中に読みたくないホラーです。そんなに難しいことや変わったことをしてるわけではないと思うのですがとにかく色々ぎっしり詰まっていて、なおかつ読み終わってみると紹介に偽りなしの純愛本格ミステリ。人を選ぶぶっ飛んだ世界感だと思いますが私はとても好きです。2015/12/11
ちーたん
76
★★★☆☆『ラミア虐殺』の続編という事で楽しみにしていた本作。でも脇役での登場とは残念。心霊番組のクルーは幽霊が出るという今は廃墟となった元アミューズメントパーク『奇傾城』に1泊することになる。深夜ディレクターが惨殺され、部屋は密室。唯一の橋が決壊し警察は翌朝にならないと来れないという。妖艶な魅力を放つ黒という美少女と共に奇妙な館に取り残された一行の運命は?『ラミア』もブッ飛んでましたが、輪をかけたぶっ飛び構成が強烈で飛鳥部ワールド全開でした!ただ黒の魅力が正直わからず。やはり廉&京メイン作品が読みたい!2019/09/30