創世の島

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  • サイズ 新書判/ページ数 239p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784152091352
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

時は21世紀末。世界大戦と疫病により人類は死滅した。世界の片隅の島に大富豪プラトンが建設した“共和国”だけを残して。彼は海上に高い障壁を作り、外の世界からこの国を物理的に隔離することで、疫病の脅威から逃れたのだ。同時に彼は、労働者、戦士、技術者、特権階級である哲学者で構成する社会を築き上げる。厳格な階級制度のもと、唯一生き残ったこの島は、人類の新たなる創世をもたらすと思われた。アダム・フォードという兵士が、漂流者の少女を助けるまでは…。そしていま、ひとりの少女がアカデミーの入学試験として、4時間にわたる口頭試問に挑もうとしていた。彼女の名はアナクシマンドロス、通称アナックス。試験のテーマは「アダム・フォード」。無感情な3人の試験官の前で、彼女は“共和国”建国の経緯や、その社会構造、歴史、AI(人工知能)の問題をつぎつぎに解き明かしてゆく…。最後の数ページ、驚天動地の結末が全世界で話題を呼んだ、エスター・グレン賞受賞の衝撃作。

著者等紹介

ベケット,バーナード[ベケット,バーナード][Beckett,Bernard]
1967年生まれのニュージーランドの作家。高校で、演劇、数学、英語を教える教師でもある。『創世の島』で、国内作家の書いたすぐれた作品に与えられるエスター・グレン賞を受賞。さらにチルドレンズ・ブックス・フェスティヴァル(児童文学祭)で選ばれるニュージーランド・ポスト児童書及びYA(ヤングアダルト)小説賞のYA小説部門も受賞

小野田和子[オノダカズコ]
青山学院大学文学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

GaGa

53
率直に言ってしまうと、やたらと長いショート・ショート。星新一ならこの内容なら百分の一ぐらいの枚数で仕上てくるだろう。ただ、読んでいる最中は長いとは思わなかった。SF好きにはいささか物足りない作品だと思うが、SF初心者にはむしろお薦めしたい作品ではある。読み易いし理解しやすく内容としては古典的なので。2011/01/10

Koning

47
本当にYA向けなの?という非常に良くできたSF。舞台がディストピアっぽいNZの未来。そこのアカデミーの入試の口頭試問。そこで語られるは隔離された共和国でのアダムという男とアートというアンドロイドのやりとり。知性はどこから知性なのか?魂って何さ?というこの手の話ではお約束の大問題をまーうまく処理してます。そして最後!うわーやられちゃったよ!そうだったんか!うわー!とええ、もう驚きまくりましたとも。しかし本当にこれがYAなのかー。大人向けだと思うぞ(汗。いや、日本でってことだけどさ。これはネタバレはダメな話2015/01/16

sin

47
魂の不在!魂はその身に伴う影のように身の滅びと共に消えゆくものか!もし魂が不変なら時のうつろいに関係なく全ての己れの存在する時間に遍在するのではないのだろうか!喩え過ぎ去った時間といえども!そしてそうであってこそこの身が滅んだ後の魂の存在が約束されるのではないか!ただ今このときにのみ感じる自我などは己れの身の影にしか過ぎない!だとしたらこの物語の無機物の主張する自我は存在する可能性を持つのではないだろうか?2014/12/28

ホッケうるふ

23
3分の2読んで真相は分かったがそれは作者がちゃんと伏線を張っている証左でもある。アダムの犯した殺害には無関心なのに外部の侵入者を受け入れる行為は共感するというこの時代への違和感にも納得。ただ序盤の展開からマクロ的SFかと思いきや外部からの脅威が内部脅威に変質するごとくミクロ的SFに収縮するのが二重構造というよりハッキリ言ってイメージ違い。これは表紙がミスリード効果を醸し出していると思う。何であの場面を表紙にするか?と思ったが考えてみると他の場面を絵にするとほぼネタバレになってしまうのだなあ。2014/02/16

すけきよ

20
主人公の口頭試問という体裁で、必然的にその世界の成り立ちとシステムが語られていくことになる。詳しく歴史を説明してくれるから、彼女が暮らす社会もわかった気になるけど、実はほとんど見えていない。YAということもあって、筆致はひじょうに口当たりがいいんだけど、そこに隠された真実と仕掛けはすこぶる上質。少女の一人称なので、一瞬成長譚と思いきや、世界の崩壊、再生、そして哲学的で、壮大なSF的闘争まで一気に突き進む。結末は途中で見当がつくものの、それでグロテスクな衝撃が減じることはない。最近のSFではアタリの1冊。2010/06/18

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