内容説明
文化大革命の混乱冷めやらぬ、1978年の北京で、私はその仏典に出会った。フランスからの留学生だった私は、ベルトルッチ監督の『ラストエンペラー』に関する会議に通訳として雇われ、ある聖遺物を巡る物語に触れたのだった。歴代の皇帝が所有していたその仏典は死語となった古代語で書かれ、溥儀も解読に耽溺したといわれるが、彼自身の手で遺棄されて以来、完全な形で目にした者はいないという。その後の私の人生は、のちに愛することになる男と同じ名を持つ言語で書かれたこの仏典に絡め取られていった…。パリ在住中国人の著者が、変わりゆく中国を舞台に描いた仏教版「聖杯伝説」。
著者等紹介
ダイ・シージエ[ダイシージエ][Dai Sijie]
1954年に中国福建省で医師の両親のもとに生まれる。1971年から74年まで、下放政策により四川省の山岳地帯で再教育を受ける。解放後、1984年に国費留学生としてパリ大学に留学、美術史を専攻し、その後、フランス国立高等映画学院で映画を学んだ。2000年に発表された小説第一作『バルザックと小さな中国のお針子』(ハヤカワepi文庫)は、フランス本国でベストセラーとなり、30カ国で翻訳され、自身が監督した「小さな中国のお針子」もヒットを記録した
新島進[ニイジマススム]
慶應義塾大学文学部仏文科卒、同大学院修士課程およびレンヌ第二大学博士課程修了。慶應義塾大学准教授。フランス文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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