ハヤカワepiブック・プラネット
月が昇らなかった夜に

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  • サイズ B6判/ページ数 283p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784152091307
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

文化大革命の混乱冷めやらぬ、1978年の北京で、私はその仏典に出会った。フランスからの留学生だった私は、ベルトルッチ監督の『ラストエンペラー』に関する会議に通訳として雇われ、ある聖遺物を巡る物語に触れたのだった。歴代の皇帝が所有していたその仏典は死語となった古代語で書かれ、溥儀も解読に耽溺したといわれるが、彼自身の手で遺棄されて以来、完全な形で目にした者はいないという。その後の私の人生は、のちに愛することになる男と同じ名を持つ言語で書かれたこの仏典に絡め取られていった…。パリ在住中国人の著者が、変わりゆく中国を舞台に描いた仏教版「聖杯伝説」。

著者等紹介

ダイ・シージエ[ダイシージエ][Dai Sijie]
1954年に中国福建省で医師の両親のもとに生まれる。1971年から74年まで、下放政策により四川省の山岳地帯で再教育を受ける。解放後、1984年に国費留学生としてパリ大学に留学、美術史を専攻し、その後、フランス国立高等映画学院で映画を学んだ。2000年に発表された小説第一作『バルザックと小さな中国のお針子』(ハヤカワepi文庫)は、フランス本国でベストセラーとなり、30カ国で翻訳され、自身が監督した「小さな中国のお針子」もヒットを記録した

新島進[ニイジマススム]
慶應義塾大学文学部仏文科卒、同大学院修士課程およびレンヌ第二大学博士課程修了。慶應義塾大学准教授。フランス文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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紅はこべ

28
ラストエンペラー溥儀に捨てられた、失われた王国の言語で書かれた仏典の巻物、その魅力に取り憑かれたフランス人東洋学者ダンペール、清朝皇帝の血を引く青年トゥムシュク、トゥムシュクと恋に落ちたフランス人女性、この3人がそれぞれ巻物を探し求めるいきさつが語られる。ダンペールは失われた言語への愛から、トゥムシュクは父への思いから、語り手のフランス女性はトゥムシュクへの愛から巻物の解読に挑む。三者三様の愛の物語。ラスト一行に物語は収斂される。一貫しているのは、言語への愛。2010/12/16

ぱせり

5
大量の言葉の間に隠れた宝を探す遍歴だ。散々惑わされ、ふりまわされ、その合間にちょこっとあらわれる言葉に「あれ」と思い、愕然とし、ため息をつく瞬間瞬間が、巻物より大きな宝だった。言葉の海を旅することは生きた人たちの思いをたどる旅だった。引き裂かれた幻の宝は、どうでもよくなってしまう。2023/05/09

Mana

5
バルザックと小さな中国のお針子の、続編ということで読んでみたけどちょっとダラダラしてイマイチだったかな。残念。あまりこの人の長編は合わないみたい。2021/01/17

しんかい32

2
「バルザックと~」はよかったけど、これはあまり好きくないな~。たるい。「バルザックと~」とは全然ちがう話なのに同じようなモチーフが出てくるのは気になる。服の裏側に書き込まれた文章、蔵書をすべて燃やす、堕胎など。2015/01/26

斑入り山吹

2
すっごいよかった!!『小さな中国のお針子』はDVDを見たけれど、シージエ氏の作品は映画より本のほうがわたしは好きかも。この『月が昇らなかった夜に』は『お針子』とリンクしている部分があってニヤリとした。シージエ氏のプロフィールがそもそもすごくて、彼の体験であろうことと話がダブっているところが重い。カバーの後ろには仏教版「聖杯伝説」と書いてあったけれど、わたしはボルヘスを思い出した。文書の断片を探しまわる感じ、現実なんだかフィクションなんだかをケムに巻く感じが。ちょっと読みにくい文だけれど、そこが味わい深い。2011/02/14

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