出てゆく

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  • サイズ B6判/ページ数 314p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152090027
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

若く美しく学を身につけたモロッコの青年アゼルは、職につけず、姉の稼ぎをあてに細々と暮らしていた。閉塞感漂うこの国ではもう生きられない。彼は富豪の男の愛人になり、スペインでの豊かな生活を夢見る。さらに富豪を自分の姉と偽装結婚をさせ、姉をも脱出させようとするが…。策謀をめぐらす青年、密航の果てに溺死する男たち、秘かに春を売る女たち、エビ加工工場で働く小さな少女―出てゆくことを望む者たちが絡み合う苦闘と彷徨の物語。

著者等紹介

ジェルーン,タハール・ベン[ジェルーン,タハールベン][Jelloun,Tahar Ben]
1944年モロッコ生まれ。1987年に発表した『聖なる夜』でゴンクール賞を受賞。2006年に発表された『出てゆく』はフランス本国でベストセラーリストに入り、話題となった。民族、歴史、差別などをテーマに小説を発表し、詩やノンフィクションなども手がけている

香川由利子[カガワユリコ]
1954年生、京都大学大学院修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mejiro

15
人は生まれる時代や場所を選べない。14㎞の距離が希望と現実を大海のように隔てる。登場人物を取り巻く状況を知ると、「出ていく」のに必死になるのも無理はないと思う。なんとか脱出できても、次々に問題がたちはだかり、夢への道のりは厳しい。青年は自らの選択が枷になり苦境に陥る。彼を軽率だと責めるのは酷だけど、もう少しうまく立ち回れてたら…と思った。彼がもがく姿が、自由と尊厳を失っては人間は生きていけない、と訴えているようだった。成功を求めて異国に移住しても、心は故郷を懐かしむ。人の拠り所を感じせつなかった。 2019/01/10

ネムル

6
国を出て、性を出て自分自身からも出てゆき、行き着く先は「無」? 出てゆくか出てゆかないか、それが問題だ。居場所を失った者たちのゆれ続ける言葉の海へと飛び出し、テクストから帰ってきた今、何かが変わったろうか? それも問題だ。2009/03/12

EnJoeToh

3
出て行った。2009/05/31

うさぎ

1
何ともやりきれない気持ちになりました。2016/03/24

インナミ

1
14キロ対岸のスペインへ「出てゆく」ことを切望する、モロッコ・タンジェの若者たち。貧困と、将来に対する絶望に急き立てられ、法を破り性的嗜好も倫理観もかなぐり捨て、兎にも角にも彼らは「出てゆく」。しかし結局、祖国から、自分自身から、誰も逃れられない。悲しい運命の描出に容赦はないが、筆致は神話的で優しい。それゆえに、この物語は普遍性をもつ。他人事のはずだが、所々で共感の不意打ちを喰らい、胸を抉られる。2009/05/28

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