となりの車線はなぜスイスイ進むのか?―交通の科学

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  • サイズ B6判/ページ数 445p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784152089717
  • NDC分類 514
  • Cコード C0065

内容説明

交通―それは、ごく緩やかな行動指針を示しただけで、無数の人間を一緒くたにする実験場である。だから、路上には思いもよらない驚きがある。となりの車線は(実際はそうでなくても)速く進んでいるように思えるし、入念に安全策が講じられた道ほど事故が多かったりする。「交通について考える」とは、通行量調査や道路網整備や車の安全装備を論じるだけではない。それは人間の本質を追求する試みなのだ。多岐にわたるリサーチと世界中の専門家へのインタビューを通して、本書では、運転という日常的な行為に隠された深遠な交通の世界を垣間見ることができる。

目次

プロローグ 私はなぜ高速上の工事区間でぎりぎりまで車線合流しなくなったのか
第1章 どうしてとなりの車線の方がいつも速そうに見えるのか?車に乗ることは、人の意識をどう混乱させているのか?
第2章 あなたが自分で思っているほどよいドライバーではない理由
第3章 路上で裏切る私たちの目と心
第4章 どうしてアリの群れは渋滞しないのか(そして人間はするのか)?渋滞対策としての協力行動
第5章 どうして女性は男性より渋滞を引き起こしやすいのか?(そして交通をめぐるその他の秘密)
第6章 どうして道路を作れば作るほど交通量が増えるのか?(そして、それをどうすればよいのか?)
第7章 危険な道の方がかえって安全?
第8章 交通が語る世界、あるいはご当地運転
第9章 スーパーボウルの日曜日にビールを飲んでいるフレッドという名の離婚した医者とモンタナの田舎でピックアップ・トラックに乗るべきではないのはなぜか?
エピローグ ドライビング・レッスン

著者等紹介

ヴァンダービルト,トム[ヴァンダービルト,トム][Vanderbilt,Tom]
ブルックリン在住の作家、ライター。テクノロジー、サイエンス、カルチャーに詳しく、Wired、Slate、The New York Times、The Wall Street Journalなどに寄稿する

酒井泰介[サカイタイスケ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゲオルギオ・ハーン

25
普段は大人しい人なのに車に乗ると性格が変わるという心理学面から渋滞解消のための道路づくりという工学面、人々の通勤時間をずらすためにはどのようなインセンティブを持たせるルールづくりをすべきかという経済学的な面などさまざまな角度から交通を科学する一冊。一番印象的だったのは運転の時のリスクを一定にしたがるという心理的な話。安全機能満載の車で見通しの良い道を走ると無茶な運転をしたがる一方でボロい車で危険な道を行くととても慎重になるという。四人乗りともなると四人がそれぞれ安全を促すようになるというのも興味深い。2023/12/26

人生ゴルディアス

5
免許を持っていないけれど、道路は毎日常に歩く。そのわりには、交通のこととかって何も考えたことなかった、と本書を読んで思った。とはいえちょっと古い本なので、自動運転はまだ夢物語的な扱われ方をしている。なんとか次の10年以内には実装されて、本書で書かれているような問題は大部分解決するかもしれないと思うと、すごい時代に生きているなと思うし、車の引き起こすことを考えると、現状ってほとんど野放しに近い気がした(実際に本書でも車を作業機械に置き換えると、まず工場での安全規則を通らないという)。2017/11/30

MasakiZACKY

3
交通に関する色々な不思議について社会調査や心理学などから考察した一冊。面白い。まさに交通の科学で、交通に関する研究がこんなにあるのかと驚いた。タイトルになっている件については少しだけ。キャッチーなトピックを選んだのだろうが「なぜ交通事故はなくならないのか」みたいな方が適切かも。車自体の機能から道路の標識まで、安全を目指してなされている対策はたくさんあるが、環境が安全になればなるほど人間は危険な運転をするようになる。最終的に重大事故は増えてしまう。この「人間」という要因が交通の科学を非常に複雑にしている。2013/12/29

wasabi

2
人間の行動心理とテクノロジー(この本の場合は車)との関係について書かれた本でこんなに面白く読めたのって初めてかも。読み始めてすぐJ.G.バラードの『クラッシュ』が頭に浮かんできたが、本書の前半でいきなり言及されてて笑えた。「時間が経てば技術的問題はより自動的に対処できるようになるが、人間をめぐる問題は、どんどん超現実的になっていく。」エピローグの締めのこの一文なんてほんとバラード的だよなあ。2013/01/01

深海(ふかかい)

2
「誰もが、自分は平均的なドライバーよりも運転がうまいと思っている」ひと言で言うと、このことから生じる交通科学あれやこれや。400ページ以上、ず~っと交通の話です。確かに面白いですが、根気強く付き合えるならばおすすめ。「世界で最も交通事故死の少ないフィンランドでは、交通違反の罰金を、所得に基づいた累進性により課している」へ~。「人は車に乗っているとき、人間性を失いやすい。匿名性を与えられ、1.5キロの鉄の繭に包まれているからだ」なるほど~。2011/09/02

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