プラチナ・ファンタジイ
マーブル・アーチの風

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  • サイズ B6判/ページ数 364p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152089588
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

毎年恒例の大会(カンファレンス)に参加するため、20年ぶりにロンドンを訪れたトムとキャスの夫妻。ロンドン地下鉄道をこよなく愛するトムは、旧友との再会を楽しみに地下鉄で大会会場へと向かうが、駅の構内で突然の爆風に襲われる。爆弾テロか毒ガスかと瞬間的に思うが、風は一瞬にしてやんでしまう。どうやら周囲の誰もこの風を感じなかったらしい。ようやく到着した会場では、病気や離婚といった話題ばかりを友人たちが口にしているのを耳にする。そして、ホテルに帰るため、地下鉄に戻ったトムは、ふたたび暴力的な“風”に見舞われるのだった。20年前と明らかになにかが変わってしまったロンドンで、トムは“風”の謎を追って地下鉄を巡る…。やがて誰にでも訪れる人生のその時を、迫真の筆致で描いた表題作(ヒューゴー賞受賞)。ベヴァリーヒルズのセレブを相手に、いんちきチャネリングで荒稼ぎする女霊媒師に、ある人物の霊が憑依する。その人物とは、オカルト詐欺やニセ科学を批判しつづけた実在のジャーナリスト、H・L・メンケンその人だった…。サイキック商売を題材に描く傑作ユーモア中篇「インサイダー疑惑」(ヒューゴー賞受賞)。クリスマスが近づくなか、街では少しだけおかしなこと(みんなが動く歩道の片側をきちんと空けて立つ、帽子をかぶる人が急に増えた)が起こり始める…。侵略SFコメディ「ニュースレター」(ローカス賞受賞)。ユーモア、コメディからシリアス短篇まで、SF界を代表する小説の達人の傑作5篇を厳選。物語を読む愉しみにあふれた日本オリジナル作品集。

著者等紹介

ウィリス,コニー[ウィリス,コニー][Willis,Connie]
1945年コロラド州デンヴァー生まれ。1967年、北コロラド大学を卒業したのち、教師をつとめるかたわら小説を発表しはじめる。短篇「見張り」(1982)でヒューゴー/ネビュラ両賞を受賞。1987年に発表した初の単独長篇『リンカーンの夢』(ハヤカワ文庫SF)でジョン・W・キャンベル記念賞を受賞した。1992年発表の『ドゥームズデイ・ブック』(同文庫)では、暗黒の中世への時間旅行を描き、ヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞のトリプル・クラウンを獲得、SF界の女王の地位を確固たるものとした。また、2001年に刊行されたローカス賞受賞作『航路』は、日本でも大きな話題となり、「ベストSF2002」第1位に輝いた。さらに、『ドゥームズデイ・ブック』の姉妹篇『犬は勘定に入れません』(1998/早川書房・海外SFノヴェルズ)でも、ヒューゴー/ローカス両賞を受賞、日本では、SF界のみならずミステリ/海外文学界からも高い評価を受けた

大森望[オオモリノゾミ]
1961年生、京都大学文学部卒、翻訳家・書評価(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

oldman獺祭魚翁

32
流石の女王コニー・ウィリス どの一編も見事な仕上がりです。 進化?を皮肉った「白亜紀後期にて」 お笑い宇宙からの侵略者の「ニュースレター」 近年日本でも見かけるようになったクリスマス・デコレーションがついに外注化されちゃった世界を描くドタバタラブコメ「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」 年々歳々、花相い似たり 歳々年々、人同じからず…だれもが何時かは感じるのだろうか?「マーブルアーチの風」 そしてとんでもない人物の魂が降臨してしまう傑作「インサイダー疑惑」…どれもこれも楽しい中短編集です。SFの女王健在です。 2017/08/29

くさてる

26
短編集。様々なタイプの作品が掲載されているが、ロンドンを夫婦で訪れた中年男が出会った不思議な風とその正体を描いた表題作が身体にしみいる寂しさで泣いてしまった。老いと死と時間の流れをこんな風に表現されてしまっては言葉も無い。どうすればいいか分からない。「ひいらぎ飾ろう~」の明るさと馬鹿騒ぎな感じは読後感も良く楽しいのひとこと。そして懐疑論者が出会ったチャネラーとの戦いをコミカルかつ謎解きの要素込みで描いた「インサイダー疑惑」がときめきの展開でよろしかったです。2017/08/24

ニミッツクラス

23
08年(平成20年)の税抜2000円の単行本初版。5冊ある邦訳作品集の3冊目。表題作を含む5つの中短編を収録で大森氏訳。プラチナ・ファンタジイは、早川ハードカバーのFT系サブレーベルなのかな。現代的でスマートな筆致と背景設定は、広い読者層に訴求できる。レーベル通りF系にシフトしているので中短編ではやや薄口の感。大学組織の改革ネタの「白亜紀後期にて」を巻頭にしたのは、一見さんなら積読行きの危うい設定だった。H賞ノヴェラの2編(表題作と「インサイダー疑惑」)は、今後は鉄板作品と呼ばれるのだろうね。★★★★★☆2021/06/01

もち

15
「復讐の季節じゃなくて、赦しと善意の季節のはずでしょ」◆クリスマス飾りは外注する時代に。デザイナーのリニーへ、機械音痴の女性からの依頼が届く。滅多にない対面での会話を甥と交わし、心惹かれるリニーだったが――(『ひいらぎかざろう@クリスマス』)■コメディ、シリアス両方が程よく収録されたSF短編集。クリスマスもの二本のポップさもいいが、年月の哀愁と余韻に満ちた表題作や、霊媒を暴くことが愛しい事実を指し示す「インサイダー疑惑」も捨て難い。2019/09/10

Mc6ρ助

14
「空襲警報」の感想で、コニー・ウィルスさん、未読は「我が愛しき娘たち」のみと豪語したのはどこの爺さまだったか。しっかりこれも未読の短編集、しかも、「インサイダー疑惑」半端ではなかった。今度こそ残るは、「我がいとしき・・」のみ!2022/03/12

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