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哀れなるものたち

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  • サイズ B6判/ページ数 442p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784152088574
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

小説家アラスター・グレイは、グロテスクな装飾が施された一冊の書を入手する。『スコットランドの一公衆衛生官の若き日を彩るいくつかの挿話』と題されたその本は、19世紀後半の医師による自伝だった。それは、実に驚くべき物語を伝えていた。著者の親友である醜い天才医師が、身投げした美女の「肉体」を救うべく、現代の医学でさえ及びもつかない神業的手術を成功させたというのだ。しかも、蘇生した美女は世界をめぐる冒険と大胆な性愛の遍歴を経て、著者の妻に収まったという。厖大な資料を検証した後、グレイは小説家としての直感からこの書に記されたことすべてが真実であると確信する。そして自らが編者となってこの「傑作」を翻刻し、事の真相を世に問う決意をした―。虚か実か?ポストモダン的技法を駆使したゴシック奇譚。ウィットブレッド賞、ガーディアン賞受賞。

著者等紹介

グレイ,アラスター[グレイ,アラスター][Gray,Alasdair]
1934年、グラスゴー生まれ。スコットランドを代表する小説家。画家、劇作家、脚本家としても活躍している。美術学校在学中に執筆をはじめ、三十年近い年月をかけて完成させた長大な処女長篇『ラナーク 四巻からなる伝記』(1981)がアントニイ・バージェス、ブライアン・オールディスらから絶賛され、一躍母国のみならず英文学における主要作家となった。1992年発表の『哀れなるものたち』は長篇第六作にあたり、ウィットブレッド賞、ガーディアン賞をダブル受賞

高橋和久[タカハシカズヒサ]
東京大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

39
恐らく10年以上も熟成していた本。積読本を文庫化や映画化を機に読むのは敗北に近いものがある。確かに実験的な構成ではあるが奇書というほどには破天荒でもなく、むしろ知性と茶目っ気で読者を作家の思惑に引きずり込む、アクロバティックで洗練された作品というイメージだ。この読了後のモヤモヤ感は堪らない。翻訳版を作り上げるに当たっての苦労が偲ばれる本でもあった。長らく絶版だったので映画化を機にまた売れるのは喜ばしい限りである。本日映画を観に行く予定なのでそちらもとても楽しみだ。2024/01/11

わむう

25
アカデミー賞主演女優賞作。映像で見るのは辛いシーンが多いとのことなので、本で読みました。訳は素晴らしかったですが映像で見ないと想像しにくい場面があって、やはり映画を観に行こうかなと思いました。2024/03/15

ズー

17
映画公開の前に読んだ原作。出だしの小難しい感じから、読破できるか不安だったけど、なんの心配もいらなかった!面白すぎる。妄想か真実か?誰を信じたらいいのか?読み進めるほどに、ベラがその境遇を越えるような、ぶっとびの女性であることを知るのだが!註釈かと思いきや、それすら物語?の続きになっているし、裏付けがすごい。これ、映画だとどう表現されるのか、どこまでやるのかすごく気になる。映画公開がさらに楽しみになった!18禁?と思ったけど、そりゃそうだなと思った。2024/01/15

アカツキ

14
19世紀の医師マッキャンドレスの風変わりな自伝を手に入れる。そこにはマッキャンドレスの親友の醜い天才医師バクスターが溺死した妊婦を手術で蘇らせ、後にマッキャンドレスは彼女と結婚したと書かれていて…。溺死した妊婦の身体に彼女の胎児の脳を移植された奔放な美女ベラと彼女に翻弄される男たちの物語と、ベラが子孫に向けて実際は何があったのかを綴った手紙。自伝の時はフーンという感じだったが、手紙で現実が見えるようになって急に面白くなり始める。哀れ筆頭はバクスター、次点でマッキャンドレスか作中には登場しない息子たちかな。2023/10/17

アリーマ

10
映画が周囲で好評なので、まずは原作を読んでみた。身投げした身重の女性の胎児の脳を、死んだ女性に移植することで蘇生させる話。女は純粋で美しく頭や心は子供のまま。それが大人の肉体の欲望に正直に生きて周囲の男を混乱させ…という話が終盤で一転、別のストーリーに。ポストモダン的な仕掛けがいろいろあるがむしろそこが鬱陶しい。それを訳したのが東大の英文学の先生で、この如何にもな訳が実にわかりにくく読みにくい。翻訳がもう少しマシならもう少し面白く読めたのかも?原作がこれだと映画をみに行く気も失せてくるのだが…?★★★2024/02/20

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