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テロル

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  • サイズ B6判/ページ数 278p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784152088055
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

イスラエルの都市テルアビブに瀟洒な家をかまえるアラブ系の医師アーミンは、最愛の妻シヘムとともに幸福な生活をおくっていた。だが、あの自爆テロがすべてを変えた。19名の犠牲者。その中にシヘムがいたのだ。呆然とするアーミンに刑事は衝撃的な言葉を吐く。「テロの首謀者はあなたの妻だ」妻は妊婦をよそおって爆弾を腹に抱え、自爆したという。なぜ彼女がそんなことを…。アーミンは真相を探るため、妻のルーツを探り、やがて想像を絶する真実に辿りつく。イスラムの夫婦の見えざる亀裂を描き出す、哀しみに満ちた愛の世界。テロが横行する極限下、イスラム社会の至高の愛と究極の絶望を描いた傑作。

著者等紹介

カドラ,ヤスミナ[カドラ,ヤスミナ][Khadra,Yasmina]
1955年生まれ。本名、ムハマド・ムルセフール。アルジェリア軍の将校時代、軍の検閲を逃れるため女性名のペンネームで執筆活動をはじめ、文学、ミステリと幅広いジャンルで次々と話題作を発表した。イスラムの声を伝える作家として、国際的に高い評価を得、作品は25カ国で翻訳されたが、2001年に自伝を発表しフランスに亡命するまでその正体は不明だった。2005年に発表した『テロル』は、イスラエルとパレスチナを舞台に、この地に存在する根深い社会問題と夫婦の哀しい愛の姿を描いた作品。「本年度の最高の一冊」と《フィガロ・マガジン》に絶賛され、フランス書店組合賞を受賞した

藤本優子[フジモトユウコ]
1964年東京生まれ、1987年パリ国立高等音楽院ピアノ科卒、翻訳家・通訳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

97
イスラム原理主義者がレストランでカミカゼを決行。自爆テロを起こしたのは、夫が高名な外科医で、イスラエルに帰化したアラブ人女性。いままで政治的な活動をしたこともない妻が突然、爆発物を身体に巻きつけて、自分もろとも吹き飛ばす。妻の行為が信じられない夫はパレスチナ自治区に入り、親族の係累をたどって真相に迫る。そこにあったのは、妻に生きることを選ばせることができなかったこと、同じ屋根の下で暮らしいたものの、見ているものは同じではなかったという事実。→2021/09/13

白のヒメ

55
イスラエルに住むアラブ系のエリート外科医の主人公。ある日警察から連絡があり、なんと妻が自爆テロを起こしたという。幸せな結婚生活を送っていたのに、一体どういうことなのか。主人公は呆然としながらも理由を究明しようとする。・・・イスラエルの宗教問題、政治問題は歴史的に根が深すぎて、キリスト教などと縁のない暮らしをしている私には理解しがたい。理解しようとこういう本を手に取ったりするのだが、やはり「一体どうしてこんな事に」という気持ちにしかなれないのだ。宗教は生きる為のものではないのか。理不尽にしか思えない。2018/05/04

南雲吾朗

29
いつまでも止む事の無い内戦は何故継続しているのか?それは貧困の為や領土拡大の為の戦争ではなく、自由を勝ち取るための戦争だから。そもそも、自由に対する根本的な考えの違いがある。否、考え方などと言う半端なものではなく、信念の違い。「自由とは心の底からの信念なんだ。」 「これは誰の身に起きてもおかしくない事なんだ。災難の様に降りかかってきたり、寄生虫か何かのように心の中にとりつくのかもしれない。それを境に、二度と世界は同じように見えなくなる。」 幸福という考え方を根底から揺るがされる物語。良い本に出合えた。 2018/04/07

たまご

16
初めは謎。そして主人公に対して、嫌悪感。そのあとの主人公の決意に半分同感。主人公に対する感情がこんなに変遷する作品だとは。わかりあうこと、わかりあえると思うこと、わかりあえないこと、あなたの気持ちを知ること。考えるより感じることが多かった気がしました、2021/10/21

翡翠

13
モヤモヤが残った。アミーンとシヘムのあまりの隔たり。アミーンにとって生きることは地位の確立、豊かな生活〜贅沢な家に美しい妻。シヘムにとってはアイデンティティの追求。分かり合えるはずはなかった。最近つくづく思う。人間って分かり合えることなんてないんだから、言葉を尽くして努力して自分を守り、平和を維持していかないといけないことを。最近の、一番大事なのは命と言い切ったあるTV社員と、命をかけて守りぬくものがあると信じる私との隔たりを感じたばかりなのを思う。2022/04/07

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