内容説明
ある時は歴戦の勇士、ある時は腕利きレーサー、しかしてその正体は?夢見る中年男ウォルター・ミティを描いた表題作ほか、アメリカン・ユーモアの巨匠が独特のユーモア感覚で描く掌篇。
著者等紹介
サーバー,ジェイムズ[サーバー,ジェイムズ][Thurber,James]
1894‐1961。オハイオ州コロンバス生まれ。オハイオ州立大学を卒業後、国務省の暗号係などをつとめ、その後新聞界に転進。編集者、寄稿家として『ニューヨーカー』を中心に活躍した
鳴海四郎[ナルミシロウ]
1917‐2004。東京商科大学卒業。翻訳家・英米演劇研究家。テネシー・ウィリアムズ、ニール・サイモン、アガサ・クリスティーらの作品を翻訳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
21
珍妙なブラック・ユーモアともいえる作品集。とにかく、登場人物や出来事、思考が皆、奇天烈、奇奇怪怪としか言えないのだがふとした瞬間に同じことをやっていそうな妙な現実味があります。地上から1.75センチ離れて物語を歩いているような奇妙で不思議な読後を味わいました。2011/09/19
きりぱい
9
名誉なことを成し遂げたのはろくでもない人間だったから、国としてはありのまま英雄扱いするのは体裁が悪い。そこでとられた行動に唖然の「世界最大の英雄」が面白い。あとは「ブルーム氏異聞」「マクベス殺人事件」「ツグミの巣ごもり」「愛犬物語」辺りがよかった。最初は、突拍子のなさに、な!妄想か!となる時もあるものの、ぱっとしない男のとぼけた心理が多く見られたり、悪意もこよなくコミカルに描かれる。愛犬物語は割とまともなストーリーで、ありがちな結果にほっとする。2012/07/29
ほじゅどー
8
★★本作の標題「虹をつかむ男、The Secret Life of Walter Mitty」は、映画"LIFE"の原作であるが、映画の方はプロットをこれでもかと言うくらい膨らませた、原作とは全然違うストーリーになっているので、ご注意ください。唯一原作の雰囲気に近いところは、普段平凡な中年男が妄想の中に入り込むという点のみ。LIFEは60年前に作られたダニー・ケイが主役の映画のリメイク。2014/04/23
あや
5
非常に面白かった。今まで順番に読んできたこの叢書の中では、結構上位にくるかも。ジャンルに捉われない、まさに奇妙な味。思わずクスッと笑ってしまう、愉快な話が多かった。皮肉も入ってるけど。お気に入りは、収録順に「世界最大の英雄」「ブルール氏異聞」「マクベス殺人事件」「142列車の女」「妻を処分する男」「クイズあそび」「ビドウェル氏の私生活」「愛犬物語」「人間のはいる箱」「寝台さわぎ」「ダム決壊の日」「オバケの出た夜」「虫のしらせ」「訣別」「ウィルマおばさんの勘定」。著者によるイラストも◎。2009/04/25
hirayama46
4
とぼけたイメージのイラストにぴったりな内容の短編集。とはいえ、光文社の古典新訳文庫のものよりはシリアスな空気が濃いめかな、という感じ。あくまでも比較してですが。異色作家短篇集としての色合いはあるように思えました。2019/10/26
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