内容説明
二十世紀初頭の文学に衝撃を与えた作家ジャック・ロンドン。彼の生涯はその作品同様、激動と波乱に満ちたものだった。十五歳で海賊まがいの生活に飛び込み、幾多の放浪と冒険を経て、社会主義者となる。そして社会が目を背けてきた人間の冷酷さ、醜悪さに正面から向き合い、人間がもつ逞しさにあふれる小説を発表し、アメリカの国民的作家へと成長してゆく。しかし私生活では、つねに孤独にさいなまれ、彼が心から望んだ温かい家庭はついぞ手に入ることはなかった。ありあまる冒険心と創作欲に駆られるままに自らを極限まで燃やし尽くした一人の男の生涯。
著者等紹介
ストーン,アーヴィング[ストーン,アーヴィング][Stone,Irving]
1903年7月14日、サン・フランシスコに生まれる。カリフォルニア大学で政治学を学んだのち、劇作家を志すが、パリでゴッホの作品に出会ったのを契機に、ゴッホの伝記『生への情熱』を書きあげ、伝記作家としての道を歩み始める。1989年没
橋本福夫[ハシモトフクオ]
1906年、兵庫県に生まれる。1930年に同志社大学英文科を卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kazi
5
ファンとしては文句なしの傑作。波乱万丈な人生を送ったアメリカ人作家ジャックロンドンの伝記。ジャックロンドンの壮絶な人生に比べて、自分は真剣に人生に取り組んでいると言えるのだろうかと不安になった。わずか40年の人生だが、圧倒的な集中力と情熱で普通の人の何万倍も濃い人生を生きた、彼は私の描く理想そのもの。労働階級の英雄であり、野心溢れる冒険家。ジャックロンドンの人生、堪能しました。2019/08/16
夜梨@灯れ松明の火
3
図書館。BRUTUSの村上春樹特集にあった春樹さんの選ぶ51冊のうちの1冊。もう一度読まないと、頭に入らないです(笑)再読するぞー!今月は期せずして村上春樹月間となりました。2022/01/29
安土留之
2
アメリカ文学に活力を与え、社会主義者、進化論者、冒険家でもあったジャック・ロンドンの伝記。牡蛎の密猟者、浮浪者のような生活を経て作家として大成功したが、常に新たな挑戦を求め、「破滅型」とも言える短い人生を生きたロンドンをイキイキと描いている。 早川文庫版が出版された1977年読み、学生だった私はジャック・ロンドンの生き方に圧倒された。人生には、なんらかの冒険がないとつまらないし、成長もできない、ということを学び、勇気をもらった本。還暦を過ぎての再読だけど、現状に安住せずに冒険をしないと、と思った。 2021/09/10
植竹正紀
1
ロンドンの小説の著作は、「野生の呼び声」、「白い牙」のみしか読んだことが無かった。この伝記は、スリリングと言っていいほどの引き締まった文体と表現力で彼の生涯を私の眼前に現出してくれた。さらにロンドンの一生が、想像を超えた事件と数機に満ちたものであったことの知識もいただくことができた。この稀有なる作家の作品全部を読みたくなった。とても気にいった伝記です。アングロ・アイリッシュの文学やアイルランド史などに興味のある方には、さらにお勧めです。理由は本書を読み始めればすぐ解ります。2012/04/30
宮坂山房主人
0
ジャック・ロンドンは小説よりも本人のほうが面白い。心血を注いだ狼城が完成当日に燃え上がる場面では、荷風の偏奇館を思い出した。2014/05/30