内容説明
膨大な『動物記』の著作で知られるシートンは、自然保護の活動にも熱心であった。世界各地の講演で、鳥の鳴き声をまねてみせ、広野の中で野生動物に出会ったときの感動を語り、生きものが消え去った森の静寂さを嘆き、こう訴え続けた。「われわれは、われわれの子供たちのものを奪ったのです」単なる感傷ではなく、野生生活の体験と、豊かな学識に支えられたシートンの言葉は、彼の死後60年を経た今日でも、われわれの心を深く揺さぶり、強い印象を残す。その生涯を自然とともに生きたシートンの豊かな人生を、公私にわたり彼を支え続けたジュリア夫人が描く二十世紀最高の動物学者の伝記。
目次
炉辺の火―幼少時代
道を照らす灯―少年時代
青春の炎―青年時代
黄金時代―マニトバの日々
夕べのキャンプファイア―西部の野営地
炎を燃やす―森林の保護
闇にゆらぐ炎―語学の問題
光に導かれて―生活の知恵
乾いた火口―大人のための寓話
聖地のともしび―芸術のとらえかた
立ち昇る森の煙―若人への福音
燃ゆる香―夢は実現した