内容説明
西暦2032年。未曽有の地殻変動によって、南西諸島に沈没の危機が迫っていた。地球科学者・大森拓哉の警告により政府特別機関が設立されるが、その目的は領海=海底資源喪失を見越しての既得権確保にあった。政府の対応に憤る植物生態学者・南方洋司、地質学者・菅原秀明ら6人の科学者は、独自の「ISEIC理論」によって地殻変動を食い止めるべく、極秘プロジェクトを開始する。いっぽう共感覚をもつ青年・伊波岳志は、南方らに同行して訪れた与那国島で、巫女的存在であるムヌチの後間柚と出会う。「琉球の根を掘り起こせ」なる神の声を聞いたという彼女は、大地の怒りを鎮めるため、“14番目の御嶽”を探してくれるよう岳志に依頼するのだが…日本SF史上最高の科学小説、ついに刊行。
著者等紹介
藤崎慎吾[フジサキシンゴ]
1962年東京都生まれ。米メリーランド大学海洋・河口部環境科学専攻修士課程修了。科学雑誌の編集者・記者などを経て、1999年に長篇『クリスタルサイレンス』で作家デビュー。同書にて「ベストSF1999」国内篇第1位を獲得
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Book Lover Mr.Garakuta
12
様々な思惑がソウサクする。琉球諸島の物語。面白いけど、読んでて疲れた。2019/06/22
たみ
11
ごつい。2032年、少し未来が舞台のSF小説。沖縄の、日本の、ひいては地球の危機。共感覚、領海問題、沖縄地方の巫女的な存在:ムヌチ、などなど、科学とオカルトを軽やかに反復横飛びしながらしだいに融合していくような感じです。普段なら読み飛ばしたくなりそうな科学の説明が嫌味じゃなく、自然に台詞に取り込まれてるのが上手いなあ。急いで続き読まなきゃ、気になってたまらん。ホーマーさん…!2014/08/28
おだまん
10
田中一村展に行ったので再読。 舞台は与那国島ではありますが改めて読むと アダンの海辺の放つ迫力が作品の雰囲気とぴったり。2024/09/26
おだまん
3
再読。伝統と科学の融合。蛍女を踏まえて今回は科学者サイド寄りの視点で読んでいるので、前回と印象が少し違っていてまた楽しい。2013/02/06
茶幸才斎
3
南西諸島の海底の異変に気づいたのは、いずれもディープでマッドな6人の科学者集団。一方、共感覚を持つ大学生の伊波岳志は、与那国島最後のムヌチ、後間柚と不思議な出会いをし、彼女が神から与えられた「琉球を守れ」という無理難題に従い「14番めの御獄」を探す手伝いをする。小松左京『日本沈没』やF. シェッツィング『深海のYrr』を思い出すが、本書は、これら以上に現実と架空のマニアックな科学的知見がわんさと登場し、(いい意味で)胡散臭くて面白い。今のとこ独自に進む、宇宙生物学者マーク・ホーマーのパートにも期待が増す。2011/01/09
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