内容説明
独特の魅力をもつ実力派作家がカナダ南東部の荒涼とした半島の姿をエピソードの集積で描き出す。コンラッドの朗読会に参加するために、凡庸な家庭生活を捨てて旅立った婦人、港町ならではの不吉な「前触れ」の数々、ミクマク族の英雄グルースカップの伝説、詩人エリザベス・ビショップの足跡を辿る旅、そして、著者の原点でもある野鳥観察記―ときに心温かく、ときに冷淡な人々、心に暗闇を忍びこませる静寂の風景、だれもノヴァスコシアを定義することはできないが、素朴なストーリーを幾重にも折り重ねることで、その地の清冽な空気と人の営みが見えてくる。稀代のストーリーテラーが情熱を傾けて、立体的に焼きつける海辺のポートレート。
目次
はじめに 突然の暗黒、深まる静けさ
第1章 わたしの有名な夕べ
第2章 愛、死、そして海―前触れと予言
第3章 野鳥観察者のノート
第4章 ドライヴィング・ミス・バリー
エピローグ ロバート・フランクは晩秋に等しい
著者等紹介
ノーマン,ハワード[ノーマン,ハワード][Norman,Howard]
アメリカの小説家。ともに全米図書賞最終候補作となったThe Northern Lights、『バード・アーティスト』のほかThe Museum Guard、『Lの憑依』などの作品がある。また、ネイティブアメリカンの民間伝承収集でも知られその分野の著書に『エスキモーの民話』がある。現在は小説執筆のかたわら、メリーランド大学で講師も務めている
栗木さつき[クリキサツキ]
慶応義塾大学経済学部卒、翻訳家
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