霧のなかの子―行き場を失った子どもたちの物語

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霧のなかの子―行き場を失った子どもたちの物語

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  • サイズ B6判/ページ数 414p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152086303
  • NDC分類 936
  • Cコード C0098

内容説明

教師を辞め、無言症の専門家として病院のセラピストの仕事についたトリイは、謎めいた三人のケースに関わることになった。9歳のカサンドラには現実の存在とは思えぬ妖精のような雰囲気があった。虚ろな目つきをしたかと思うと、感情を爆発させて暴れ、その後何日間も無言を通す。最大の問題は、悪質な嘘をつくことで、傷つきやすい他の子どもだけでなく、大人までパニックに陥れた。これも実父に2年間誘拐されていた影響なのだろうか。そんななか、トリイは遠く離れた町の有力者から4歳の孫ドレイクを話せるようにしてほしいと強引な要求をつきつけられる。いつも大きなトラのぬいぐるみを抱えた活発で愛くるしいその少年は、人とコミュニケーションをとりたがっているようなのに、なぜ母親以外には決して話さないのか?さらに、老人科のソーシャル・ワーカーから懇願されて、トリイは脳卒中で話せなくなった老女ゲルダの様子も見ることになる。やがてドレイクの母親からは驚くべきことを打ち明けられ、一方、カサンドラにも意外な側面が見えてくる…。いずれのケースも進展を見せず、思い悩むトリイの前に明らかになっていく真実とは?情緒障害児との心の交流を描き、世界中に感動を呼ぶ著者が、家族とは何か、その真の意味を問う感動のノンフィクション。

著者等紹介

ヘイデン,トリイ[ヘイデン,トリイ][Hayden,Torey]
1951年5月21日、米国モンタナ州生まれ。情緒障害児教室や福祉施設などでの体験を綴った『シーラという子』をはじめ数々のノンフィクションで、世界中に大きな感動を巻き起こしている。スコットランドで執筆活動のかたわら農業を営み、児童心理学の研究も続けているほか、児童虐待や自殺の防止ホットラインの活動にも力を尽くしている。1998年以来、度々日本を訪れている

入江真佐子[イリエマサコ]
国際基督教大学教養学部卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Rin

58
【図書館】選択性無言症の子どもたちの治療を行うトリイ。今回は子どもだけではなく老人も対象に。どんな相手でも真摯に向き合うトリイ。私にとってトリイ作品は学生の頃から読んでいるけれど、今は仕事内容は違うけど私自身も刺激を貰えるシリーズ。優しさがしっかりと根底にあって諦めずに可能性を探し続けること。嫌いだという感情に流されることなく、相手のためを想い自分の感情をしっかりコントロールするために自分自身と向き合う姿勢。見捨てずに心から救いたいという気持ちに、背筋が伸びる気持ちになる。子どもたちの幸せを願いたいです。2017/03/06

Hisae

6
正直、苦手な分野です。仕事でなければ挫折していたと思います。カサンドラが理解不能の、未知の生物に思えて恐ろしいかったです。トリイの体験を読むだけで、混乱と薄気味悪さに気が滅入りそうでした。そんなカサンドラに根気良く付き合い続けるトリイが知った恐ろしい秘密。子供に現実に起こってしまう理不尽で残酷な仕打ちに、ただひたすらに嫌悪と吐き気、強い怒りを感じました。カサンドラにドレイク。どうか、そんな理不尽な苦しみを味わう子供たちが一人でもいなくなって欲しい、そう願わずにはいられない本でした。2014/03/13

07a4003

4
病院でセラピストとして働く主人公が出会った3人の子供達。先天的な障害なのに認められない子,過去のトラウマを隠すように酷い虚言癖を持つ子,後遺症で無言症になった老婆。原因はそれぞれ異なるが,家庭環境が子供に与える影響の大きさを痛感させられる。セラピーの中で,感情を数値化して分類する作業は自己分析の方法として興味深かったし,感情を掲示物に見立てて相手の手の中にそれらを“預ける”という表現に主人公の強さと優しさが含まれていて,感情を伝えることや共有することの大切さを実感した。2022/03/28

nitori

4
忘れていたけれど再読でした。カサンドラにドレイク、ゲルダ。。。やっぱりトリイヘイデンの物語は心にぐっと迫るものがあります。『シーラという子』の1冊で人生のベクトルが変わってきたともいえる、大好きな作家さんです。虐待が起こす深刻な情緒問題や無言症に必死で取り組むカウンセラーや医師、ケースワーカーの奮闘とやるせない現実、そしてその中にほんのわずかに見える希望の光・・・世界中で愛されるのも納得です。2019/04/08

よぽ

4
カサンドラ、ドレイク、ゲルダの3人のケースが語られる。家族が子供に与える影響力の大きさが怖いほど。子供にとっての両親の存在とは、かくも大きいものなのですね、改めて身が引き締まる思い。2018/05/06

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