内容説明
中高一貫の私立校で英語を教える女性、和田留奈。単調な生活に退屈し、孤独を感じていた彼女は、16歳の教え子、池田純と関係を持っていた。そんな彼女のもとにある日、差出人不明の封書が届く。中から出てきたのは、「殺してやる」と書かれた手紙と、純といっしょにラブホテルから出てくるところを写した一枚の写真。スキャンダルになることを恐れた留奈は、上海の友人のもとに逃れるため、姉のパスポートを盗み、姉になりすまして神戸からフェリーに乗った。同じ頃、イギリスで小さな画材店を営むラルフは、理想の女性を探すため東京に来ていた。彼は東洋の女性はやさしく従順だと考えていて、タイの女性と結婚したが、破局を迎えていた。結局、東京でも理想の相手は見つからず、彼はインターネットで知り合った中国の女性に会うため、フェリーに乗った。運命の糸に導かれるように、同じフェリーに乗った留奈とラルフ。やがて二人が出逢ったとき、恐ろしい結末に向けて、歯車が静かにまわりはじめた…。英国推理作家協会賞最優秀新人賞受賞作『アースクエイク・バード』に続き、気鋭の作家が放つ極上の心理サスペンス。
著者等紹介
ジョーンズ,スザンナ[ジョーンズ,スザンナ][Jones,Susanna]
1967年イギリスのヨークシャー生まれ。ロンドン大学在学中は演劇を専攻、「劇場の起源」というテーマで研究し、「能」や日本の伝統文化、仏教を学ぶうちに日本全般に興味を持つ。大学卒業後、1988年に日本の文部省の制度に参加して名古屋の高校で英語の教師を1年間務める。1994年に再来日して千葉県の中学と高校で2年間英語を教えるが、その後、マンチェスター大学大学院で1年間創作を学び、3度目の来日では東京で2年間NHKラジオなどで働いた。こうした経験をもとに描いた『アースクエイク・バード』を2001年に発表、同年の英国推理作家協会賞最優秀新人賞(ジョン・クリーシイ賞)を受賞した。現在はイギリスの大学で教鞭をとっている
阿尾正子[アオマサコ]
横浜市立大学文理学部国際関係学科卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。