ヒヤシンス・ブルーの少女

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  • サイズ B6判/ページ数 214p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784152084224
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

一枚の埋もれた名画とそれにまつわる人々の人生を連作短篇の形式で描いて、フェルメールの絵のような輝きを持つ傑作。

著者等紹介

ヴリーランド,スーザン[ヴリーランド,スーザン][Vreeland,Susan]
カリフォルニア州で育ち、12歳のときからサンディエゴに在住。サンディエゴ州立大学を卒業。1969年から地元の高校で英文学と創作の教鞭をとっていたが、最近、30年間勤めた教職を去った。ソフトウェア技師と結婚。1980年代から新聞や雑誌に文章を寄せ始め、1988年、盲人でありながら健常者と同じ生活を送る決意をした女性についての小説What Love Seesを発表。これはリチャード・トーマス、アナベス・ギッシュ主演でCBSでドラマ化された

長野きよみ[ナガノキヨミ]
日本大学芸術学部卒、英米文学翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

161
8篇の連作短篇からなるが、全体として長編小説にもなっている。1枚のフェルメールの絵がたどった運命と、それに関わった人々の人生の断面を描き出していく手法は鮮やか。また、時間軸を遡行させていったことも小説に奥行きを与えることになった。第1話は現代のアメリカだが、それ以降はオランダが物語の舞台となり、歴史的な事象とも絡めて時代の空気感とともに、そこに生きていた人々のせつなさが伝わってくる。篇中では前近代と近代の転換点を捉えた「アドリーン…」、そして画家フェルメールに迫った「静かな生活」が作家の特質をよく伝える。2014/06/08

KAZOO

155
この小説を読んで非常にうまいと感じました。まず題材がフェルメールの絵ということがまずひとつ、その次はその絵が狂言回し(人間ではないのですが)になって時代をさかのぼっていくこと、そして最後は画家の時代になりその娘が出てくるという8つの連作短篇になっている構成もお見事としか言いようのない感じです。それぞれの話も主題がそれぞれに異なっています。ひとつの話が中篇くらいには膨らませそうですが、これくらいの長さでもって読ませてくれるのがいいのでしょうね。いい本を紹介していただきました。2016/04/18

新地学@児童書病発動中

122
フェルメールの作品「真珠の耳飾りの少女」をモチーフに、生活と芸術の対立、戦争の恐怖、親子の絆といった普遍的なテーマを掘り下げた連作短編。芸術が表現する美しさは尊いものだが、混沌とした現実の社会はその美を飲みこんでしまう。現実の前に芸術は無力であることを自覚しながら、作者は芸術が人間の胸に呼び起こす驚きと感動を怯むことなく描いてゆく。フェルメールの娘が出てくる最終話が一番良かった。人は死んでいくが、その人が命を削って作り上げる芸術作品は永遠のものだと思わせてくれる。2016/04/03

コジ

28
★★★★★ 縫い物をする手を止めふと傍らを見る少女を描いた一枚の絵画と歴代の所有者の人生を描いた八篇の連作短編。冒頭の話に登場する人物が絵の最終所有者で、且つその絵がフェルメールが描いた作品かそれとも贋作か真贋がはっきりせずに終わる。そして各話時代と所有者を遡り、絵の作者とモデルとなった少女までたどり着く歴史ミステリー的な構成になっているが、注目すべきはその絵の美しさと、それに魅せられた人々にもたらされる運命である。落ちつた文章で綴られた人間模様は実に味わい深かった。2016/09/17

ぱせり

16
八つの物語の主人公たちとともに、この絵をずっと味わってきた。絵は人びとの人生に光を灯した(同時に、それを失う絶望も味あわせた)思うような人生を誰もが送れるわけがない。でも、それは、端から見たとおりかどうか、本人にしかわからない。ただ、すばらしい絵を見た。今も見ている。そんな思いで本を閉じる。2012/07/16

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