内容説明
書店のアルバイトとして働くキャル・カニングハムは作家志望の青年。いつの日か傑作をものすることを夢見ているが、小説の素材集めと称して女遊びに興じるばかりでいっこうに筆は進まない。ある日、ルームメートの法学生スチュワートがひそかに小説を書いていることを知ったキャルは、留守中にその原稿を盗み見てしまう。それはキャル自身をモデルにした小説で、まごうことなき傑作だった!ところがその矢先、スチュワートが交通事故で亡くなり、キャルはその原稿を自分の作品と偽って発表する。一躍ベストセラー作家となったキャルだったが、盗作の事実を知る脅迫者が現われた時から、彼の人生は音を立てて崩れていく…。スティーヴン・キングをして「ヒッチコックの最高傑作に比肩するスリラー」と言わしめた、異能の大型新人のデビュー・ノヴェル。
著者等紹介
コラピント,ジョン[コラピント,ジョン][Colapinto,John]
カナダのトロント生まれ。『ヴァニティ・フェア』『エスクァイア』など数多くの雑誌に寄稿するジャーナリスト。『ローリング・ストーン』に発表した性同一性障害を題材にした記事で全米雑誌賞を受賞。これに加筆したノンフィクション『ブレンダの呼ばれた少年』(2000年)で作家デビューを飾る。妻と一人息子とともにニューヨーク在住
横山啓明[ヨコヤマヒロアキ]
1956年生、早稲田大学第一文学部演劇学科卒、英米文学翻訳家
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感想・レビュー
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本木英朗
28
作家志望のキャルは、法律家を目指すルームメイトが密かに書いた小説を読んで衝撃を受ける。それは明らかに自分をモデルにしていた。直後に事故死した彼に代りキャルはその小説を自作として世に問い、ベストセラー作家となるのだが……。作者のデビュー作。全米に大激論を生じさせた『無実』ほどに人の心をえぐる様な深さと重さには欠けるが、犯罪心理小説としては十分読ませてくれる。流れるように展開していく物語と、結末で登場人物各々が下す選択は皮肉たっぷりで、米国より英国での評価が高かったというのも肯ける苦い後味が魅力の佳作だった。2016/09/01
らくだ
5
ルームメイトの原稿を盗んだ作家志望の若者がベストセラー作家になるが…。展開はありがちだけど、しょーもないけど憎めない主役と脅迫者のチョイワル女がなかなかいいキャラ(^^)。ラストも意外な展開。2014/06/07
takao
3
ふむ2024/03/17
うゆう。
3
どうしようもない主人公だが、憎めない所もあって感情移入はできるし、唯一持ち得ていた一途さが報われる所は中々良かった。本来はもっと堕ちていく話の方が好きなんだけど、こういう結末も悪くない。2016/09/09
聖月
2
◎「太陽がいっぱい」+「シンプル・プラン」という形容がコピーとしてついている本書であるが、なるほど当たらずとも遠からずである。「太陽がいっぱい」は、ご存知のように友人になりすます男が主人公である。アラン・ドロンである。評者に雰囲気が似ている。一方「シンプル・プラン」は、墜落した軽飛行機の中から大金を発見した男が主人公である。大金を独り占めするために、思いもよらぬ殺人を重ねていく転落の人生の物語である。2002/08/01