内容説明
老医師には、その夜まで特に変わったようすは見られなかった。だが、勤め先の老人ホームでいつものように職員たちに声を掛けたあと、駐車場から車を出して帰宅の途についたはずの彼は、そのまま煙のように消え失せたのだ。当初は警察も事件性は薄いと見ていたが、その後九週間を過ぎても、その消息はまったくつかめなかった…失踪したダウ・パーセル医師の前妻フィオナの依頼で、マスコミを騒がせたこの失踪事件を調査することになったキンジーだったが、調査は遅々として進まない。老医師の家族関係は二度の結婚で複雑に入り組んでいたうえ、勤め先の老人ホームには医療詐欺の疑いがかかっている。69歳のダウを失踪に走らせたのは、どちらの理由なのか?そもそも、彼は自らの意志で失踪したのだろうか?粘り強い調査を続けるキンジーは、やがてある発見をするが…。ファンの熱い支持を受け、好調にミステリ界のトップを走り続ける人気シリーズ。人生と社会の闇に挑む、最新作。
著者等紹介
グラフトン,スー[グラフトン,スー][Grafton,Sue]
1940年4月24日、ケンタッキー州ルイヴィル生まれ。父親は弁護士で作家でもあるC・W・グラフトン。60年代から小説や脚本を執筆、78年に結婚したスティーヴン・ハンフリーとの共作でもTVの脚本などを多数手掛けてきた。82年に発表したキンジー・ミルホーン・シリーズ第一作『アリバイのA』で注目され、85年の『泥棒のB』でアンソニー賞とPWA賞を受賞。以後ほぼ一年に一作の割合で作品を発表し、全米ベストセラーの上位を賑わせている
嵯峨静江[サガシズエ]
青山学院大学文学部英米文学科卒、英米文学翻訳家
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