内容説明
ホウキ星と恐竜は進化について何を明かすのか?巻き貝の向きから日食、暦まで、あらゆる題材から生物学の真髄を説く科学エッセイ。
目次
第1部 天上と地上(太陽輝くニューヨークにおける悦ばしき考察;デニスの大論争どたんば大逆転(あるいはDDDD=2000) ほか)
第2部 文学と科学(怪物の人間的資質;牙と爪100周年 ほか)
第3部 起源、安定性、絶滅(心の目;シタムシ、カギムシ、クマムシ ほか)
第4部 巻き貝の本(ポーの最高ヒット作;透明人間、汝の名は女性なり ほか)
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COSMOS本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
「ワンダフル・ライフ」で知られる生物学者の科学エッセイの七冊目。内容は色々だが、昔の人は地球を平だと思っていたわけでないという「平らな地球の遅い誕生」、女性科学者の先駆メアリー・アニングの著作から性差別主義を考える「透明人間、汝の名は女性なり」等楽しい。中でも、エドガー・アラン・ポーが請負仕事でやったのに生前一番売れた本「貝類学者入門」に生物学の先進性を読み取った話と、昔の貝類図鑑の図版は何故左巻きと右巻きの貝が実物とは逆に描かれているのか?という事実から人間の認識力の変化を読み解こうとする話が面白い2019/12/17
kinaba
1
☆ 面白かった。特に『平らな地球の遅い誕生』(中世の科学者が地球が平らと思っていたわけないだろ!)と『ポーの最高ヒット作』(盗作の中の革新)そして『左巻きの貝と右巻きの頭』(貝を描いた印刷物が18世紀半ばまで揃って巻きが逆である謎について)。単に面白可笑しく事物を紹介するのではなく、それらをどう考えるか、という思考に関する考察がそれぞれ楽しい。それにしても最後の話、18世紀に、貝殻の巻きの向きは絵だけでは無く本当に逆転したのだ!!!というSFが書けそう…2014/10/09
NAGIA
1
エッセイなので軽い気持ちで読めた。科学というより、科学的思考法みたいなものがよくわかる本。人間が固定概念に囚われがちということがわかる。書かれてまだ15年くらいのようだけれど、いまでは受け入れられている「恐竜絶滅が隕石の衝突によるもの」という説が出てまもない時期のよう。科学者さんたちが「そんな馬鹿な」と反応しつつ、たいへんフラットな姿勢でその説を検証しているところがいい。科学者も偏見に支配されがち、という事実と、その偏見を率直な姿勢で正すのが科学者、という二つの事実がうまくあらわされていると思う。2013/10/02